今のわが子にジャストの「許可基準」を決める
ベビーパークで推奨している『叱らない育児』は、「してはならないことを絶対にさせない」、ただし子どもを叱るという方法は採用しないというものです。ではどういう方法で子供を親の期待通りに行動させるのでしょう。
それは、親が「望ましい行動の手本を見せ続ける」「望ましくないものは最初から与えない、触れさせない」「望ましくない場所には行かせない」という工夫や努力を最大限頑張ることです。とはいえ親としては同時に、子どもに豊かな経験をできるだけたくさんさせてあげたいものですから、その実践には多くの知恵と労力を必要とします。
夫婦の間でも人間の価値観は違うもの
さて、ここで問題となってくるのが「何がしてもよいことで、何がしてはいけないことなのか」の基準です。たとえ夫婦の間でも、人間の価値観というのは必ずしも一致しているわけではありません。むしろ違っている部分の方が多いのが普通です。お互いの常識や当たり前といった感覚のズレに驚かされることはよくあるのではないでしょうか。
家庭の育児においてこのズレが生じると困ったことになりがちです。そこで、様々な事柄について「常識だから」ですませるのではなく、もう一段掘り下げて家庭内の考えを明確にしておくことが大切です。
してもよいこと、わるいことの基準を夫婦で一致させる
誰が考えても絶対的にダメなことや絶対的に良いことの基準は簡単に決められますが、問題は「それは程度の問題だよね」といった事柄の基準です。
そのような事柄で親の意見が日々揺れ動いてしまっては、子どもは混乱し次第に親の言葉を信頼しなくなってきます。自分の中で一本の筋を作っておくこと、さらには夫婦間でこの基準を一致させておくことが非常に大切です。
疑問に感じたことは早いうちに夫婦で会話する
日常生活の中で「これは許していいの?」という疑問が湧くたびに、その問題を心に留めておき、なるべく早いうちに夫婦で会話する機会をもちましょう。答えが出ないうちは当面お子さまにその行為はさせない方が良いでしょう。一度許されたことをあとから禁止されるのは、子どもにとって非常に大きな苦痛です。
しかし、それまで禁止されていたことを「これからは、このルールを守れるならばやっていいよ」と許可されることは、自分の成長を感じられる大きな喜びになります。
最初は「スーパーや駐車場では走らない」「公園は走って良い」「地区センターでもキッズルームだけは走って良い」など細かいカテゴリーで考えていたものが、だんだん「室内や狭い場所では走らない」「子ども向けの場所は人が少なければ走って良い」「公園でも人が多い日は走らない」など、上位概念でのルールができあがってきますので、細かいことで悩む回数は減ってきます。また、子どもの成長によってルールも変化します。2歳児のよちよち走りならば許される場所でも、6歳児の全力疾走は許されないかもしれません。
実際のところちょっと考えてみるだけでも、事例が山のように浮かぶことでしょう。
ですから最初に夫婦で話し合っておくべきことはたった一つ、「今の時点の成長段階におけるわが子の許可基準をいつも夫婦間で一致させるように、情報はこまめに伝え合おう」という約束をすればいいのです。
育児に積極的でない夫と、子どもについて話し合うコツ
さて、夫のタイプにもよりますが、多くの男性は女性よりも育児への参画に戸惑いを感じているものです。最近は、育児も家事も男女平等と考えて見事にこなす男性も増えてきました。しかし、たいていどのタイプの男性にも共通して言えることは、物事をシステム化して考えることに秀でているという面です。
男性は論理的な「基準作り」が好きなもの
わが子の成長にとって適切なルールの基準を決め、かつそのルールに縛られすぎるのではなく子どもの成長に応じてルールも適宜成長させていく、その「基準作り」という育児仕事がわが子の豊かな発達においていかに重要で価値あるものかと伝えれば、ご主人は意欲的に協力してくださることでしょう。
夫婦間でもっとも共通の、面白くて有益でかけがえのない話題は子どもの話です。「育児のために夫婦の意見や方針を擦り合わせる会話時間を定期的にもつ」という習慣は、今後の円満な家庭作りに大いに役立ちます。
「理解しあえるハズ」という理想からスタートするとうまくいかない
「男と女は全然別の生き物」「理解できなくて当たり前」というところからスタートし、「それでも、時間をかけて少しずつ少しずつ理解しあっていこう」という気持ちで接します。
育児の相談は「愚痴に聞こえないように心がけること」
楽しい・明るい雰囲気でなければ、悩みごとは結果的には愚痴として聞こえやすいものです。感情的になって主観だらけで話すと、相談も愚痴に変身してしまいます。
本気で育児相談の会話をしたかったら、夫の機嫌の良い時に、相談内容は要点をまとめて、論理的に客観的に簡潔に相談することです。愛する妻やわが子に関わる本気の相談には、真心で答えてくれるものです。
夫を立てて元気にしつつ、意見の着地点を見つける
男性を元気にする一番の薬は「自分に自信を与えてくれる女性」の存在です。女性ともっとも違う男性の特質は「尊厳」や「誇り」を非常に重要視するところではないでしょうか。家庭では「ちょっとだけ引いて」、夫を「立派な人」「できる人」として扱うのが賢い女性のコツです。「お父さんは偉い!」「パパありがとう」「あなたってすごいわ」と、日頃からさりげなく口にしておきます。
「何言っているの!」「わかってないわね」「そうじゃないでしょう」などの否定ワードは禁句です。心の中でそう思ってしまうのは仕方ありませんが、口に出すときは「なるほど、そういう考え方もあるのね」と一度認め受け入れて、その上で「私はこうしたいな」と意見をお願いの形で伝えてみることです。一歩引いて「実を取る」方法で、ご主人を元気にしつつお互いに歩み寄りながら意見の着地点を見つけ出しましょう。
夫婦は子どもの前で絶対にお互いを否定しない
子どもの前でも常にお父さんを立てるのが大原則ですが、それはお父さんにも守ってもらいます。すなわち、子どもとお母さん、どちらかを擁護しなければならない時には、絶対にお母さんの味方になってもらいましょう。
3歳以降は時には子どもを叱るべきシチュエーションにも遭遇します。もし相手の叱り方や許可基準に問題があると感じても、例えば「お母さんはお前のことをとても愛しているから叱るんだよ」などと肯定してもらい、その時はいったん飲み込んでおき、あとで子どもが寝静まってからでも改めて夫婦の会話として話題に出します。
逆にお父さんに叱られた子どもがお母さんに泣きついてきても、絶対にお父さんを否定する言葉を口にしてはいけません。
お父さん・お母さんの意見はいつでも一枚岩のようにガッシリとまとまり、決してブレないのだ、とお子さまの心の奥底に刷り込まれることは、家庭や家族、両親への絶大な信頼となって今後の育児を成功へと導く基盤になることでしょう。
終わりに ~今日からできること~
ここまでの話のなかで、子育てにおいて夫婦間の基準が一致していることがいかに重要であるかは理解できたかと思います。また、夫婦がたくさん会話をすることは、子育てに限らずよい夫婦の関係を維持するためにも大切ですよね。
そこで、お茶や美味しいお茶菓子を前にのんびりくつろぎながら、ぜひ夫婦で次のことを話し合ってみましょう!
①わが家の「常識」とは何か。正答はありません。互いにその時なりの思いを形にできればそれでいいのです。
②お子さまの許可基準が成長に合わせて日々変化することを確認し、家庭基準を常に共有するという合意をもちましょう。
③子どもの前では何があっても夫婦を互いに否定せず、絶対に陰で悪口も言わないこと、気になることはあとで子どものいない時に正直に伝えあうことも約束しましょう。
まずはお互いにこの意識を持つだけでも、何かあった際に話し合いがしやすくなると思います。子どものためにも、自分たちのためにも多くのことを話し合い、お互いの価値観の違いと適切な着地点を見つけていくようにしましょう。
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