なぜ子どもはマイペースなのか
もうすぐ小学校にあがるというのに、朝の支度がなかなか終わらない。「遅刻しちゃうよ!」と言ってもどこ吹く風。なぜ子どもはこんなにもマイペースなのかと不思議になりますが、子どもがマイペースなのにも理由があるのです。
いろいろなことに興味がある
お着替えをしている途中で目に入った絵本を読みはじめているなど、子どもは目の前にあること、目の前で起こったことに気を取られてしまいます。靴を履いている途中で動かなくなったな、と思って声をかけたら「ありさんが歩いてるの」と観察をしていたりします。親としては「どうでもいい!」と思うことも、子どもにとってはとても興味をそそられることだったりするのです。
時間の概念がない
子どもにとっては「今」が全てで「〇時までに」と言っても理解できていない可能性もあります。
大人と同じ感覚で時間を意識できるようになるのは10歳くらいですから、小学校入学前にできないのは当たり前ですね。
大人がせかせかしている
子どもがマイペース、と思っているのは大人ですよね。実は大人がせかせかとしているから、子どもがマイペースに見えているだけかもしれません。大人のペースに合わせない=マイペースと感じるのです。
シチュエーション別:子どもの準備を早くする秘訣
そんな大人から見ればマイペースに見えてしまう子どもの行動ですが、明確な原因があって朝の支度ができない場合もあります。以下のような場合には対策が可能です。シチュエーション別にみていきましょう。
1.起きない
朝起きられない原因は二つ考えられます。
一つは睡眠が足りていないこと。昨日寝た時間は何時でしたか? 3~6歳の子どもに必要とされている睡眠時間は10~13時間といわれています。もしかしたら、睡眠時間が足りないのかもしれません。
また、睡眠時間と同じくらい大切なのが睡眠の質です。寝る直前までスマホやテレビを見ていると、脳が活性化してしまい、なかなか深い眠りに入ることができなくなります。睡眠の質が下がった結果、朝起きられなくなっているのかもしれません。
もう一つはお腹が空いていないこと。昨日の夕ご飯の量はどうでしたか? 何時ごろに食べましたか?朝お腹が空くと子どもは「お腹が空いた」と自然と起きてきます。大人もそうですよね。前日の夜に食べ過ぎたり食べる時間が遅くなることのないように気を付けましょう。
2.朝ご飯
毎日の朝ご飯は、一日を元気に過ごすためにも、体のリズムを整えるためにもとても大切です。しっかり食べて欲しいからと、品目が多くなってしまったり、子どもの苦手なものを出したりしていませんか?
子どもが「食べたい」と思うものを朝ご飯にするというのも一つの方法です。自分の好きな食べ物なら、子どもは「もう食べたの?」と思うほど早く食べ終わります。その日の気分や体調、お腹の空き具合で食べたいものが変わることもあります。外国では、何種類かのパンと何種類かのカットフルーツとカット野菜をテーブルに並べて好きなものを食べるという朝ご飯もありますね。
毎日親の準備した朝ご飯を食べさせるのではなく、いくつかの選択肢から食べられるようにするとよいでしょう。食べ物で遊びはじめたら、お腹がいっぱいのサインかもしれません。「もうお腹いっぱい?」など声をかけて次の行動に促していきましょう。
3.歯みがき
歯みがきが嫌いでなかなか歯をみがいてくれない場合は、お気に入りのコップを使ったり、好きな味の歯みがき粉を使って歯みがきをしたくなる環境を整えるとよいでしょう。
「はみがきのうた」などの音楽をかけたり、お父さんと歯みがき競争するなど遊びの要素も取り入れてみましょう。お母さんが口の中のばい菌役になって「〇〇ちゃんのお口にいるばい菌だぞ。美味しそうな食べ物がたくさんあるな。よし、食べて虫歯をつくっちゃえ~」などと言うと子どもは急いでばい菌をやっつけようと歯磨きをします。子どもが磨くたびに「うわ~やられた~」などと反応すると益々面白がってしっかり歯磨きしてくれます。
4.着替え
「自分で!」という時期になると、お着替えにも時間がかかります。自分で洋服を選びたいという場合は2つくらいの選択肢を用意しておいて「どっちにする?」と選ばせるのもいいでしょう。
朝、服を選ぶのに時間がかかるなら、前日のうちに決めておくのもおすすめです。ハンカチや靴下などもセットにしておけばスムーズにお着替えできます。「自分で着る」という場合は、時間がかかりそうなボタンを留める時だけお手伝いをしてあげます。子どもの自尊心を傷つけないように声かけをしてからお手伝いしてあげましょう。
大人も行動を見直しましょう
先述しましたように、子どもは色々なことに興味が移ろいやすかったり、時間の概念がまだ弱いため、つい周りの状況に気を取られたり左右されてしまいます。そこで、子どもに注意を促すよりも大人が朝の行動を改めたほうが、子どもが支度に集中できる環境を作れる場合があります。
以下に、大人の側が改善できる朝の支度に関する項目を二つご紹介します。
テレビはつけない
朝は、ニュース番組を見るためにテレビをつけているご家庭も多いと思います。しかし、子どもは何にでも興味を持ちますから、テレビで見たこと、聞こえたことが気になって手元がおろそかになったり、テレビに夢中になって他のことを忘れてしまいます。
朝はできるだけテレビはつけずにおきましょう。どうしてもニュースを聞きたいならラジオを活用しましょう。
前の日に準備する
お着替えの準備もそうですが、前の日にできることは前の日にしておきましょう。夜はクタクタで何もする気にならない、という日もあると思いますが、30分頑張れば翌日の慌ただしさが全然違います。
夕飯のあとの食器の片づけをしておく、トイレやお風呂の掃除をしておくだけでもかまいません。朝ご飯の準備なら、汁物だけつくって冷蔵庫に入れておく、おかずを器によそっておいて朝は電子レンジで温めて出せばいいだけの状態にしておくなど、ほんの少しやっておくだけでも朝の準備が楽になり、心に余裕を持つことができます。
親がやらない方がよいこと
ここまでは、子ども、親それぞれの立場での改善策をお伝えしてきましたが、次は親が朝の支度でどんなに急いでいてもしてはいけない「NG」についてまとめています。
「早くして」と言う
子どもは時間の概念がありませんから「早くして」といわれてもどうしていいかわからないようです。「時計の長い針が『9』になるまで」「砂時計の砂が全部落ちるまで」など、視覚的にもとらえられる具体的な指示を出してあげましょう。
親が全部やってあげる
親がやれば早いのは当たり前です。しかし、親が何でもやってあげてしまうと、いつまでたっても子どもはひとりでできるようになりません。自分でなんでもできるようになってほしいなら、手を出さずに見守ってあげましょう。
子どもと計画してみましょう
お休みの日など親も子どもも時間と心に余裕がある時に、朝の予定を計画してみましょう。
お母さんの予定、お父さんの予定、子どもの予定、と分けて「お母さんは〇時に起きる」と書き、それができないと「みんなの朝ご飯を準備できなくてみんなのお腹がすいてしまう」など子どもでもわかるような理由を考えます。子どもの行動については、「これができないとどうなっちゃうと思う?」と聞きながら紙に書いていきましょう。
そうすることで、「これをやらないといけないんだ」ということを子どもが理解でき、いつか「お母さんがこれをできるために、私はこうする」ということまで考えられるようになります。
それができるようになったら、お母さんもお父さんもとっても助かりますよね。
もしできたら、「〇〇ちゃんが自分でやってくれたおかげで、お母さんとっても助かったよ、ありがとう!」と忘れずに感謝を伝えましょう。人の役に立てたという経験は、子どもの自己肯定感を伸ばし、他人にも感謝して前向きに生きる力を育ててくれます。
まとめ:子どもは何事にも時間がかかるもの
子どもはまだ発達途中ですから、何をするにも時間がかかるものです。
もし、時間の感覚を身に付けたいなら「お着替え何分でできる?」と聞いてから、タイマーを使って時間を決めて動くことを試してみるのもよいでしょう。時間内に終わったら「すごい!こんなに早くできたね。さすがだね」と褒めてあげます。
こうして成功体験を多く経験させるとこれくらいの時間あればできるということがわかってきます。
もし全部の準備が早く終わったら、出かけるまでの残りの時間は好きなことをやってていいよ、とすると「準備が終われば〇〇ができる」ということがインプットされて、次からもやりたいことのためにスムーズに準備ができるようになります。
今回ご紹介した方法以外にも、お子さまの性格やご家庭の環境によって対応策はたくさんあると思います。いろいろと試して、お子さまにあった方法でできることを増やしてあげたいですね。
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