なぜなぜ期とはあらゆる物事について質問をする時期
「なぜなぜ期」とは、心理学では「質問期」と呼び、その名のとおり身の回りのあらゆる物事について「なんで?」「どうして?」と頻繁に質問を繰り返す時期のことをいいます。
1~2歳頃は「これなぁに?」と物の名前を知りたがる、いわゆる「命名期」や「なになに期」と呼ばれる時期で、自分の中の言葉を増やそうとしますが、「なぜなぜ期」はその次の段階です。
つまり、言葉という表面的な情報だけではなく、物事が存在する意味や原因など、より深い本質的な部分を知ろうとする時期なのです。
大人はちょっとうんざりしてしまう「なぜなぜ」攻めだけど、成長にはとっても大切な時期なんだね!
なぜなぜ期は一般的に2~6歳頃に起こる
なぜなぜ期は個人差によるところも大きいですが、一般的には2歳~6歳頃に起こることが多いようです。
これは、成人の脳神経が100%だとすると、3~4歳頃までには80%程度、5~6歳頃までには約90%程度にまで発達することと関係しているためだといわれています。そのため、この時期に質問することは、好奇心を育んだり、知ることの喜び、つまり学習意欲へと繋がったりする時期とも考えられるのです。
なぜなぜ期の質問は答えられないものも多い
子どもの成長にとって、なぜなぜ期が大切な時期であることはおわかりいただけたかと思います。しかし、だからといって、実際に日々なぜなぜ期に直面している大人にとっては、全ての質問に対して子どもにとってわかりやすく端的に、パーフェクトに答えることは難しいでしょう。
なぜなら実際のなぜなぜ期の子どもは、そもそも大人である自分ですら知らない質問をしてくることもありますし、外出先で見知らぬ人を見ながら「あのおじさんはどうして怒っているの?」などと質問してくることもあるからです。
では、そのように難解なものも入り混じるなぜなぜ期の質問に対して、周りの大人はどのように対応すれば良いのでしょうか。その答えを次の項目で解説していくことにしましょう。
なぜなぜに対する上手な答え方4選
なぜなぜ期の質問にはさまざまな種類のものがあります。そのため、質問の答え方についても「こうすればいい」というひとつの明確な方法はありません。
なぜなぜ期の子どもに対しては、質問の内容や質問された場面によって柔軟に対応していくことが大切です。ここからは、なぜなぜ期の質問に対する上手な答え方の代表的なものを4つご紹介します。
1. 簡単なものならその場で答える
子どもが質問をする時、子どもは質問をした「その時」に答えを知りたがっています。
そのため、時間がない時などにすぐに質問に答えず、少し後になって「さっきのなんで〇〇は△△か?というのはね…」と答えを話そうとした頃には、子どもは全く聞く耳を持っていない、といったこともよくある話です。
そうなってしまうと、子どもの好奇心の芽を摘んでしまったどころか、大人の方も「せっかく答えたのになんなのよ…」とイライラしたりガッカリしたりとお互いにとって良いことがありません。
例えば「神様っているの?」といったある意味簡単な質問であれば、「会ったことはないけど、ママいると思うよ」など、その場で答えるようにしましょう。
2. 一緒に調べてみる
先ほどご紹介したような簡単な質問であれば、その場で答えることがベストです。しかし、子どもは大人のように「この人に聞けば正しい答えがわかる」「この人であれば正しい答えを知っているだろう」といった判断ができないことが少なくありません。
そのため、例えば「なぜ人は死んじゃうの?」などといった大人でもすぐに答えることが難しいような質問の場合は「パパもわからないから一緒に調べてみようか?」といったように、一緒に調べてみることを提案してみましょう。
最近では、図鑑や辞書を持ち出さなくても、簡易的な答えであればインターネットですぐに調べることが可能ですし、子どもが疑問に持ちやすいことに対して子供向けにわかりやすく解説してるサイトなどもあります。
答えを調べることは、なるべく早く、子どもの興味が失われないうちの方が好ましいですが、外出先などで時間が経ってしまった場合には「さっきの〇〇だけど、パパと一緒に調べてみる?」などと先に声をかけてみると良いでしょう。
3. 逆に質問をしてみる
先にお伝えしたとおり、簡単な質問の場合も、難しい質問の場合も、大人が答えてあげることは大切です。しかし、毎回ではなくても「〇〇ちゃんはどう思う?」といったように、逆に子どもに質問することも心掛けてみましょう。
逆に質問をすることによって子どもも自ら答えを見つけようとしたり、想像力を働かせたりできるようになります。
ある程度の年齢になると、音声入力などを使って自らタブレットやスマートフォンでインターネット検索がだんだんできるようになります。そうなると、なんでも「すぐにネットで調べよう」という流れになり、あらかじめ自分で仮説を立てたり予測したりといった思考回路もなくなりがちです。
身近な大人に質問をして答えを知ろうとするなぜなぜ期の今だからこそ、逆に質問をして、自ら考える力を養っておくとよいでしょう。
逆に質問するならすぐにできるよね♪考える力を育てるのに効果的ならなおさら☆「質問返し」してみよう!
4. 子どもの目線に立った解説をする
これは特に難しい質問の場合に心掛けたいことですが、子どもの質問に答える際には、子どもの目線に立って答えの解説をすることを意識しましょう。
例えば、冒頭の例にも挙げた「どうしてお空は青いの?」という定番の質問。この質問に対して「大気中にはたくさん分子があって…」「光の波長が…」などと説明しても、スムーズに理解できる子どもは少ないはずです。
そのため、この場合は「太陽の光は、いつもは透明とか白っぽく見えるけど、実は虹の色みたいに色々な色があるんだよ。その中でも青い色はお空にいっぱい散らばりやすい色だから、お空は青く見えるんだよ。お空がオレンジ色に見えることもあるのは、お空に色々な色があるからなんだよ」といったように、少し大雑把ではありますが、子どもの目線を意識した答え方をしてみましょう。
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子どもに質問された時のNGな対応4選
ここまで子どもの「なぜなぜ」に対する上手な答え方についてご紹介してきましたが、「そんなに上手に答えられるかな」「急に質問されたら自信がない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで、ここからは、たとえ子どもに質問された時に上手に答えることができなかったとしても、できるだけ避けておきたい対応をご紹介していきます。
なぜなぜ期の2歳~6歳頃というとまだまだ子どもにも手がかかり、お世話をする大人もクタクタで大変な時期かとは思います。しかし、子どもに質問をされた際には無理のない範囲で次の4つのことを意識してみてください。
1. 質問を拒否・ごまかす
子どもが質問をするのは、もちろん「なぜだろう」「知りたい」という気持ちがあるためです。しかし、それだけではなく、大人とのコミュニケーションを求めて質問をしてくる場合もあります。一度ある質問をした時の答え方や説明が面白かったために、同じ質問をしてくることなどもあるでしょう。
そのため、無視をしたり、聞こえていないふりをしてごまかしたり、「知らない!」などと、つっけんどんな対応をすると、子どもは「コミュニケーションを拒否された」と感じてしまいかねません。
質問をされた際は「正しく答えること」を意識するのではなく、コミュニケーションのひとつとして「反応すること」を意識し、「あなたの話を聞いているよ」という態度を示しましょう。
2. 適当にあしらう
先ほど、質問をされた際に無視をしたりごまかしたりすることは避けた方が良いとお伝えしましたが、「はいはい、また後でね」「あ~、〇〇なんじゃない?」など、適当にあしらうことも避けましょう。
繰り返しになりますが、子どもにとって質問することは、相手の愛情を感じるための大切なコミュニケーションの手段でもあります。大人と同様、子どもも、相手に適当な態度をとられることによって「自分は大切にされていないのかな」と敏感に受け止めることは少なくありません。
どうしても手が離せない、難しい質問ですぐに答えられない時は「ごめんね。今は忙しくてどうしても答えられないの」と正直に答えましょう。
3. 質問に先回りする
とくにまだ年齢が低い子どもの場合は、質問をするにも上手に言葉が選べない時や、スラスラと質問できないというケースがあります。
そういった時に、質問の途中で「あぁ、〇〇が□□なのはなんで、てこと?それは△△だからだよ。わかる?」と質問に先回りして答えることは、一見、上手に話せないことを汲み取れているようですが、実は一概に良いこととはいえません。
なぜなら、相手が理解できるように言葉を選び、組み立てるという作業も子どもの表現力を育むためには必要だからです。
子どもがうまく質問できずに困っている時は、もちろん「〇〇のことかな?」といったように誘導してあげることは問題ありませんが、たとえうまく言葉が出てこなくても、本人が話そうとしている間はしっかりと耳を傾けて、待ってあげましょう。
4. 質問自体を否定したりバカにしたりする
最後に、子どもがした質問に対して「そんなことあなたは知らなくていい」と質問自体を否定したり、「そんなこともわからないの?」とバカにしたりするようなこともやめましょう。
このような反応は子どもだけに限らず、大人であっても不快な気持ちになるものです。答えられる質問であれば答える、答えられない場合は一緒に考えたり後で答える事を伝えたりと、子どもに対しても真摯な態度で向き合いましょう。
想像力や創造力を養うなぜなぜ期を大切にしよう
2歳~6歳頃に起こりやすい「なぜなぜ期」。もちろん、大人にとっては質問の内容や質問されるシチュエーションによって少し面倒に思う場面もありますが、子どものその後の成長にとっては想像力や創造力を養うための非常に大切な時期です。
子どもの「なんで?」「どうして?」を成長の証だと受け止め、また、コミュニケーションの機会だと捉え、クイズ番組を一緒に楽しむような感覚で向き合ってみてはいかがでしょうか。
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