読書好きな子に育てるコツ

No.164更新日付:2024年11月14日

一般的に読書をする子どもは学力が高いと言われています。 本を読むだけで学力が伸びるなら、うちの子にもたくさん本を読ませたい!とは思うものの、実際に子どもに本を読ませるのはなかなか大変なことです。

インターネットで調べていても「1週間で10冊は読もう」とか「年間1000冊読ませました!」とか「そんなの無理」と思うような情報がいっぱいです。親自身が本を読むメリットを感じられていなければ、それこそ子どもに本を読ませるのは至難の業です。

でも諦めなくて大丈夫。今からでもやり始めれば、小学生になるころには「うちの子、本ばっかり読んでいるのよね」と言えるようになる方法を紹介します。読書のメリットを理解して、お子さまと一緒に読書を始めましょう。

本を読むことのメリット

文部科学省のHPを見ると次のように書いてあります。
「読書は、人類が獲得した文化である。読書により我々は、楽しく、知識が付き、ものを考えることができる。また、あらゆる分野が用意され、簡単に享受でき、しかもそれほど費用が掛からないという特色を有する。読書習慣を身に付けることは、国語力を向上させるばかりでなく、一生の財産として生きる力ともなり,楽しみの基ともなるものである。
国語力を身に付けるための読書活動の在り方

読書は、知識を得たり、物語を楽しんだり、さまざまなことを考えるために役立つ、ということですね。では、読書のメリットと学力向上にはどのような関係があるのでしょうか。

1.言葉の数が増える

たくさんの本を読めば、それだけたくさんの言葉に出会うことになります。5~6歳になれば、意味はわからなくても、文脈から「こういう意味かな?」と予測して読むこともできるようになります。新しい単語やフレーズを学ぶことで、日常の生活の中で使える言葉も増えてきます。そうすると、TPOに合わせた言葉遣いができるようになったり、3歳くらいのお子さまでも自分の気持ちを表現することが上手になっていくのです。

時々お子さまがとても難しい言葉を使って、「そんな言葉知っているの?すごいね」ということがありますよね。お子さまは明確な意味はわかっていなくても、何となくこういう場面で使うものだ、ということを学んでいるのです。その積み重ねが、文章を理解する力や、書く力を高めることにつながっていくのです。

2.知識が増える

何かについて調べたい時、何かをもっと知りたい時に、本を手にする人も多いのではないでしょうか。3~6歳のお子さまであれば、捕まえた昆虫を図鑑で調べたり、伝記を読んだり、「〇〇のしくみ」などの本を読むことでたくさんの知識を得ることができます。勉強と意識せずに学ぶことができるのは、本を読むことの大きなメリットと言えるでしょう。

例えば、テレビでニュースを見る時も、知識がない状態でみていれば、意味も分からないつまらない番組となるでしょう。しかし、知識がある状態でみれば、「なんでこんなことが起こるんだろう」と考えたり、「こうしたら、こんな事件は起きなかったのにね」と自分の意見を持てるようになります。「これは知らなかった」という場合には、さらなる知識を吸収することもできますね。

本を読んで知識を身に付けることは、思考力を育てるためにも大切なことなのです。

3.想像力が育つ

物語を読んでいると、頭の中にその場面が思い浮かぶことがあります。ここで、世界的に有名なハリーポッターの一場面をみてみましょう。ハリーが魔法学校に到着した時のシーンです。

狭い道が急に開け、大きな黒い湖のほとりに出た。向こう岸に高い山がそびえ、そのてっぺんに壮大な城が見えた。大小さまざまな塔が立ち並び、キラキラと輝く窓が星空に浮かび上がっていた。
(ハリーポッターと賢者の石より抜粋)

いかがですか。映画をみたことがなくても、まるで自分がそこにいるかのように、情景が目の前に広がってくるのではないでしょうか。このような情景はもちろん、見たこともないような魔法や、生き物、それらとの会話を通して、どんどん想像力を膨らませていくことができるのです。

読書を通じて想像力を養うことは、新しいアイデアや視点を生み出すのに役立ち、問題解決能力を高めてくれるのです。

4.集中力がアップする

読書は集中力を向上させるのにも役立ちます。集中力とは、ひとつの物事に対する注意を持続させる力のこと。これは学校や試験の勉強においても非常に重要な能力です。

本の面白さに気付いたお子さまは「さっきから呼んでいるのに全然気付かない!」というくらい集中してしまうこともあります。お子さまが没頭できる本に出会えたら、万々歳ですね。

5.コミュニケーション能力を伸ばす

子どもは本の中で疑似体験をすることで、色々な立場の人の気持ちを知ったり、問題の解決方法を学んだり、思い通りにならない歯がゆさを学んだりします。そして、どんな風に伝えれば相手に理解してもらえるのかを、身に付けた語彙力や想像力をつかって学んでいきます。そうすることで、コミュニケーション能力を伸ばしていくのです。

家族と過ごす時間の多いお子さまであればなおさら、自分や家族とは違う相手がいることを認識したり気持ちを知ることで、相手の立場に立った言動ができるようになったり、感情をコントロールする能力が身に付いたりするでしょう。「自分」を中心としたコミュニケーションから「相手」も意識したコミュニケーションができるようになったらいいですね。

年齢別 読書への取り組み方

読書のメリットはお分かりいただけたと思います。ここからは、お子さまがひとりでも本を読めるようになるための読書への取り組み方をお伝えしましょう。

3~4歳のお子さまの場合

3~4歳のお子さまに自分で読ませるなら、まずは短い絵本から始めましょう。赤ちゃんの時に読み聞かせていた、単語の少ない本がおすすめです。「じゃあじゃあびりびり」などの簡単な絵本を選びます。

「赤ちゃんの本なのに…」なんて思わないでください。赤ちゃんの時にはお母さんが読んで、絵を見たり音から学ぶことに使っていた絵本ですが、自分で文字として捉え、音読して学ぶには絶好の教材なのです。自分で読めるようになると、子どもは嬉しくて何度でも何度でも同じ本を読み続けます。繰り返し読むことで、ひとつひとつの文字が単語として認識されていきます。

5~6歳のお子さまの場合

5〜6歳になると、ほとんど不自由なく言葉でコミュニケーションがとれるようになります。本を読むことで空想の世界を楽しみながら、物語の内容をより深く理解することができるようになってきます。

この年齢になったら、これまでよりストーリーにボリュームがある絵本に挑戦してみましょう。長く複雑な物語の世界に触れることで好奇心がかき立てられ、想像する力もますますふくらみます。図書館を利用して、できるだけ多くの物語絵本に触れるのがおすすめです。興味があると思う本があれば、どんどん読ませていきましょう。

まだ、自分で読むことが難しいお子さまには、読み聞かせでも大丈夫です。自分が興味のある本であれば、いつもは親が読み聞かせをしていたのにある日突然自分で読んでいた、ということもありますから楽しみですね。

本を与える時の注意点

大人は同じ絵本を繰り返し読ませるより、新しい絵本やもっと難しい絵本を読ませようとしてしまいがちです。しかし子どもは、「新しいもの」と同じくらい「おなじみのもの」を大事にします。何度でも読みたがるのは、何か心を満たしてくれる力がその絵本にあるからです。

3~6歳のお子さまは、次々と新しい絵本に出会うより、「これは自分の本」としっかり抱きかかえて離さない絵本を持てることが大切です。お子さまもいつかは必ず別の本に興味を示す時がきますから、焦らずゆっくりと待ってあげましょう。

どうしても本を読むのが苦手なお子さまへの対処

本を読むのが好きではないお子さまは、文字を単語でとらえるのが苦手という場合が多いようです。ですからまずは、お子さまと一緒に遊びながら短い文章で練習をしていきましょう。

1.かるた遊び

お子さまにかるたの読み札を読ませて、親がその札を取ります。キャラクターのかるたは簡単な文章になっていますし、ことわざかるたなら、親がお子さまにことわざの意味も読んであげれば、遊びながら言葉を覚えることもできます。

2.すごろく遊び

すごろくで止まったマスに書いてある指示を大きな声で読んでもらいます。最近はすごろくBOOKのようなものもありますし、バリエーションが豊富ですから、それだけ目にする単語も多くなります。

まとめ:大人が楽しみながら取り組むことが大切

お子さまが読書をするかどうかは、ご家庭の環境も大きく影響しています。大人が読み聞かせをすることや自分が本を読むことを負担に感じてしまうと、お子さまも本を読むことがイヤになってしまいます。

寝る前など、読書タイムを決めて大人が楽しみながら読み聞かせをしたり、読んでいる姿を見せてあげれば、きっとお子さまも読書が好きになりますよ。

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