子どもは「遊び」を通して社会性を獲得する
子どもの能力を最大限に発揮させる一番大きな鍵は、「子どもの発達のみちすじを正しくたどる」という事です。ベストな発達をめざそうと思ったら、本来たどるべきみちすじをあまり寄り道しないで正しく通ることが重要です。
幼い子どもにとって学びの方法といえば「遊び」ですね。
子どもの遊びとは、「子どもが大人の能力を獲得するための必要経験」なのです。
人間は社会を形成するという方法で地球上に繁栄してきました。猫が毛糸玉にじゃれつくことで狩りの練習をするように、人間の子どもは「遊び」を通して社会性を獲得していくのです。
現代は子どもに必要な「遊び」を親が与える必要がある
生活の基盤が「大家族」「村落共同体」であった時代には、子どもは放っておいても自然に社会性や身体能力や安全を守るために必要な知恵が育ちました。母親が口出しするよりも近所の少し大きい子どもたちに任せておいたほうが、子どもの様々な能力はよく育ったのです。
しかし、現代社会では「必要な遊びが大人によって次々に禁止される」ことで、自然にそれらの能力を獲得できる環境が崩れてきてしまっています。
そのため、子どもの日常生活の中に「本来たどるべきみちすじをきちんと設定してあげる」ことが求められます。偶然チャンスに出会うのを待つばかりではなく、「偶然」を「必然」に変えてあげることが必要なのです。
子ども同士の友達関係の中で十分に社会性を得られるようになるまでは、親が積極的に適切な「遊び」を与えてあげましょう。
「笑い」を獲得するための0歳期の遊び
それでは、子どもが通る遊びのみちすじを、0歳期から順番に説明していきます。
まず、0歳期は「笑いの獲得」の時期といえます。
産まれたばかりの赤ちゃんが笑うことはないですね。「笑い」というのは大脳新皮質が高度に発達した人間だけが持つ感情表現です。赤ちゃんは、脳のうち記憶を司る海馬の部位がまだ完成していませんので、扁桃体と呼ばれる部位で安全か危険かを判断し、安全が確認されると次に快か不快かを判断しています。赤ちゃんの判断基準はこの2つがすべてといっても過言ではありません。
0歳期の赤ちゃんはまず「泣く」ことを覚える
赤ちゃんは産まれてまず最初に、不快を示す時「泣く」という方法があることを覚えます。
泣けば誰かが世話をしてくれるからです。
この時期に泣いたときしか相手にしてもらえないと、不快を示すことでしか自己表現ができなくなってしまい、その後の1~2歳期の育児が非常に大変になります。注意したり叱ったりすればするほどさらに不快が募り、その不快を全身で訴えるために大人にとっては困った行動をするようになるのです。
「笑い」「遊び」を通して「快」によるコミュニケーションを教える
ですから、穏やかにしている時の親子の関わりあいこそが子どもの問題行動を減らすことにつながります。普段機嫌のよい時にたっぷりと相手をしてあげて、「快」によるコミュニケーションの楽しさや喜びを心の奥深くに刷りこんでいきましょう。
泣いていたり特別何か欲求を示したりしていない時にこそ、たっぷりと笑いを育てる遊びをしてあげることが大切です。
また、0歳期の遊びは対話の基礎を育てたり、手の使い方を「前脚」から「手」に変えていく大切な働きとなります。0歳期に適切な遊びを大人から豊富に与えられていないと、言葉の遅れ、運動能力の遅れ、社会性が育たないなど、後に重大な問題を生じる場合があるのです。
では、次に0歳期の遊びを具体的にお伝えいたします。目安として時期を記載しますが、月齢はあまり重要ではなく「たどるみちすじの順番が正しいかどうか」が肝心です。
0歳前半:「あやし遊び」期
まず、あやし遊びをしてあげましょう。
子どもを「あやす」とは本来「笑わせること」です。ニコニコの笑顔、天使のような無邪気な笑顔、鈴が鳴るようなかわいらしい笑い声を引き出すこと、です。
そのためには「わが子の笑いのツボを数多く発見すること」がポイントです。子どもの成長にともなって笑いのツボも変化していきます。現時点で子どもが最も笑うのはどんな遊びなのか、を見つけてあげてください。
子どもの表情をことごとくまねする「にらめっこ遊び」や、「ぞうきんの歌」などのふれあい遊びもよいですね。パパの力を借りるのもおすすめです。
0歳後半:「ゆさぶり遊び」期
次の段階は、ゆさぶり遊びです。
0歳8ヵ月頃までは、ゆりかごのように穏やかに揺らしたり、クッションに乗せてのスタビリティ・トレーニング(バランス感覚を養う遊び)をおこなう程度にしてください。
0歳9ヵ月以上のお子さんは、昔ながらの「飛行機ブーン」という、あおむけになった親のすねの上に子どもを乗せて、ダイナミックに揺らしてあげる遊びをやってみてください。体を縦にしてのスイング、横にしてのスイング、逆さにしてのスイング、すべてに良い効果があります。
なお、スイングは2秒で1往復程度のゆるやかな速度でおこなってください。また、SBS(揺さぶられっこ症候群)の危険を避けるため、1秒間に3往復などの速さで揺らすことは決してしてはいけません。
わが子の成長発達の様子に合わせて、様々なバリエーション、様々なステップアップを楽しんでくださいね。また、毎日継続してご両親やお子さんにどんな変化があったかを観察してみましょう。
1歳:「お手伝い遊び」期
ベビーパークでは1歳代を「お手伝い遊び」期と呼んでいます。1歳の子どもは「模倣反射」という本性、本能が大変活発に見られるようになります。
1歳の子どもはお母さんのまねが大好きです。これは大人の模倣をすることで生きるために必要な能力を獲得しようとする、もって生まれた本能によるものです。
それゆえお母さんのお手伝いもしたがりますが、もちろんまだ「手伝い」にはならずこの時は生活の仕方、基本的な生活習慣、身の回りのこと、最低限の当たり前の家事などを学ぶ「学習」の位置づけです。
「お手伝い遊び」によって様々な能力が結びつく
この「お手伝い遊び」によって、物の「形・色・大きさ・長さ」などの概念、「動作と言葉の合致」など様々な能力が結びついていきます。何より重要なのは「何に使うものなのか?どういう目的で作られたものなのか?正しい使い方はどうするのか?」など、「品物の用途」について理解するための基礎が培われていく、ということです。
それらを理解する前の時期には、大人にとっては困る行動もありますが、子どもの立場に立ってみればそうしたい理由があるもので、実は問題行動や困った行動になるのは、子どもが大きくなり体力も行動も大きくなっているからなのです。
早い時期から探求心を満たしてあげると後の育児が楽になる
そのため数多くの経験を早い時期から与え、探求反射や身体発達にともなう欲求を子どもが小さいうちに発現させて満たしてしまえば、それから先幼児期の困った行動の数多くを回避できます。
例えば、この時期子どもは活発に室内を立ち歩きますが、これらは「自分の回りをもっとよく知りたい!」という「探究反射」という本性です。テーブルや机の上に登るのは「高いところによじ登る」という身体運動機能が大きく伸びる時期だからです。
そのため、テーブルや椅子やたんす以上に子どもの「登る能力」を高める優れたアイテムが家庭内にたくさんあるという方はテーブルに登らせる必要はありませんが、一般的な家庭ではそれらに勝る優れた遊具はほとんどないと思われます。室内ジャングルジム程度ではテーブルの魅力に勝てません。そうであればテーブル程度の低い山は早くに征服させてあげ十分に満足させるという方法で、早い時期に登らなくなるように仕向けるのが一番です。
本能の欲求に対して厳しく叱ってはいけない
そして、この時には決して厳しく叱ってはいけません。「厳しく叱る」という行為は、すなわち「恐怖のモチベーション」で子どもを動かすことになるので、怖いからその場は言う事を聞きますが、やがて怒鳴り声にも慣れて平気になってしまいます。
このように厳しく叱ることでテーブルに登ることを抑制し続けていると、3歳頃にはファミリーレストランの椅子に平気で登るようになりかねません。幼稚園時代に「親が怖いから」という理由で登らずにいる子は、小学校にあがって親の目が届かなくなってから学校のロッカーなどに登るようになる場合が多いのです。
本能の抑圧は、強烈な欲求となっていつまでもくすぶり続けます。あるいは、能力発達の時期を逸してしまうと、ほんの少しの高いところでも怖がってまったく登ることができない大人になる場合もあります。さらには、「探究反射」を「恐怖」による「不快」で妨げられた子どもは次第に「学ぶこと」への意欲を失っていきます。大人にとっての困った行動は、子どもが「物の用途」を理解し、「因果関係」を理解できるようになれば終わりますので、怒鳴って叱りつけるよりもまずは子どもの知能を高め、言い聞かせれば理解できる頭脳を早く作ってあげましょう。
効果的な「お手伝い遊び」の仕方
そのためにもっとも効果的な「お手伝い遊び」の方法は大きく分けて二つです。
一つは実際にお母さんが家事をする時、一緒に簡単な仕事を与えてあげること。例えば、洗濯物のカゴを運ぶとか、掃除の時に布で家具のからぶきをするなどがよいでしょう。もちろん、何一つ満足にはできないでしょうし、与えた仕事は二度手間になってしまうでしょう。ですから絶対に子どものお手伝いは「お手伝い」だとは思わず「家事の修行」と心得て、親の時間と体力と心に余裕がある時に与えてください。そして、終わった時にはたくさん褒めてあげてください。この「褒める」ことが、人の役に立つと嬉しいという尊い意識を育てます。
そして二つめは、大人が誘導しておままごとをおこなう方法です。こちらの方が実際の家事よりは被害が少なくて済みますが、得られるものが大きいのはやはり本物の家事といえるでしょう。ただ、知識を短時間で豊富にインプットするのには、おままごと遊びの方が適しています。ぬいぐるみや人形を活用するのもいいです。お子さんは遊びを通して家具や食器類、日常雑貨の用途や適切な使用法を自然に理解していくでしょう。
2歳:「ごっこ遊び」期
「ごっこ遊び」には大きく分けて2種類あります。
一つは「ままごと」。これは「まんま(飯)ごと(仕事)」であり、「食事を得るために必要となる仕事のすべて」、言い換えれば「家事や日常の生活における仕事のすべて」を指します。
もう一つは「鬼ごっこ」。「鬼」は古来「力」や「賢さ」の象徴でもありました。つまり「現在の自己能力」を向上させていく遊びです。かけっこも、様々なバリエーションの鬼ごっこも基本的には「努力し、苦労を乗り越え、目的を果たし、結果を手に入れる」ことがベースになっています。
「たたかいごっこ」など危険な遊びも経験させることが重要
走ることがベースの「鬼ごっこ」や、力くらべがベースの「おすもう遊び」、「たたかいごっこ」など、たくさん経験させてあげましょう。実は男の子は、本能的に「たたかいごっこ」の中から、理屈ぬきに他人との付き合い方の基本を数多く学んでいるもので、特にチャンバラ遊びは本能的に好みます。新聞紙などで剣を作ってあげてたっぷりと経験させましょう。危険だからと禁止するのではなく、「安全なあつかい方を習得させる」という考え方が大切です。
実は、最近の小学生もやはり3年生くらいの子は「たたかいごっこ」が大好きなのですが、力の加減がうまくできない子が多く見受けられます。
30年前の小学3年生たちは力の加減も上手で、ケンカをしても体のどの部分は絶対に殴ってはいけないか、などをよく知っていましたが、現代の子達との違いはやはり「幼児期にじゃれあい遊びが決定的に不足している」ことではないでしょうか。
今、1歳から6歳ごろまでの間に子ども達がおこなっている「たたかいごっこ」は、常にお母さんの目がそばにあり、実際には相手の体に接触せずポーズだけの真似事のたたかいごっこが多いですね。そして、小学校に入ると学校にはお母さんの目がないので、初めて本格的なじゃれあい遊びが始まるのです。
パンチやキックも軽くですが相手に当てたり、取っ組みあいもします。ところが、それまでに経験してきていないので力の加減ができず、既に7歳以上で力も強くなっているので加減ができないと怪我や事故につながってしまう…、ということが起きているのです。
この、じゃれあい遊び、取っ組み合い遊びは、大自然の摂理の一部といえるのではないでしょうか。幼い時期に適切な経験をすることで力加減のコントロールが上達する。もともとの力が弱いから大きな怪我などの心配もなく、痛い思いをした時の気持ちも深く理解できるようになる。そして自分の身体能力、運動能力に一定レベル以上の自信がつくと、戦わなくても自分と相手との力量を計れるようになるので、もうくだらないケンカなどはしなくなるのです。
子どものうちにそういう経験をしておかないと、中学生以上になってから「自分がどれだけ強いか試したい」などと言って、危険な暴力に憧れる傾向が強まります。幼い時期に抑圧によって、小さな大人のようなふるまいをさせていると、結局は適切な時期に大人になりきれず、精神の一部に幼児性を残したまま体だけが大人になってしまいます。
現代社会の抱える大きな問題の一つがそこにあるように思います。「おとなしい」の語源は「大人らしい」ですが、子どもは大人らしくする必要なんてありません。子どもの時期に存分に子どもらしく過ごすからこそ、適切な時期に大人らしくなれるのです。
また、いろいろなバリエーションの「ままごと」「鬼ごっこ」遊びを通して、子どもは自己の能力を向上させる喜びを覚え、さらには集団生活を豊かにするルールへの認識を育てていきます。
年齢別:おすすめ知育玩具
0歳、1歳、3歳までの子どもの発育を促すためのおすすめ知育おもちゃをご紹介します。
0〜3ヶ月: 音のなるおもちゃ
この時期の赤ちゃんには、視覚や聴覚を刺激するために音のなるおもちゃが最適です。
カラフルなモビールやぬいぐるみ付きのメリーなどが、赤ちゃんの注意を引きつけます。
4〜6ヶ月: 自発的に音を出せるおもちゃ
赤ちゃんが自分で音を出せるおもちゃを選びましょう。
ボタンを押すと音が鳴る楽器やラトルなどが、赤ちゃんの手の動きを促し、リズム感も育てます。
7〜9ヶ月: 手押し車
つかまり立ちを始めるこの時期には、手押し車がおすすめです。
赤ちゃんが立ち上がるサポートをするだけでなく、座ったままでも遊べるので、長く使えます。
10〜12ヶ月: 形合わせパズル
指先の発達と認識力を養うために、形合わせパズルがおすすめです。
さまざまな形を穴に合わせることで、手先の器用さと問題解決能力が向上します。
1歳: 多機能おもちゃボックス
様々な遊びが詰まった多機能おもちゃボックスは、1歳の子どもにとって非常に魅力的です。
ボタンを押したり、引っ張ったりすることで、好奇心が刺激されます。
1歳半: お絵描きボード
繰り返し使えるお絵描きボードは、子どもの創造力を養うのにぴったりです。
安全でクレヨンの代わりに使えるため、親も安心して見守ることができます。
2歳: ブロック遊び
大小様々なブロックで遊ぶことで、子どもの想像力と創造力が豊かになります。
マグネット式のブロックも安全で楽しめるオプションです。
2歳半: 知育ゲーム
この時期の子どもには、簡単なルールの知育ゲームを導入するのも良いでしょう。
パズルや簡単なボードゲームは、ルールを理解し、順番を待つ練習になります。
3歳: 絵本の読み聞かせ
語彙力と理解力を養うために、絵本の読み聞かせが重要です。カラフルな絵とシンプルな物語が、子どもの興味を引きつけます。
これらの知育おもちゃは、0歳から2歳までの重要な発達段階にある子どもの成長を促し、健やかな発育をサポートします。
まとめ:その時期に合った遊びを積極的に経験させることが社会性を育てる
いかがでしたでしょうか?
子どもにはその時期その時期に必要な遊びのみちすじがあり、そのみちすじをしっかりと経験させてあげることで、適切な社会性が育っていきます。
現代は何かと子どもに適切な遊びを経験させてあげることが難しくなっています。信頼できるママ同士で、子どもに過剰に心配することなく思いっきり必要な遊びを楽しませてあげることが、子供の成長に非常に重要な時代になっているのかもしれませんね。
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