母子分離不安とは?
母子分離不安とは、子どもが母親と離れる状況で極度な不安を示す状態を指します。例えば赤ちゃんの頃に見られる、抱っこしていると眠っているのに布団におろすと起きて泣き出す、などの行動も母子分離不安の一種です。
まだ何も分からない赤ちゃんは、母親とのスキンシップによって愛情を察知しています。そのため、物理的に母親の手から離れることで、母子分離不安が起きるのは普通のことです。
しかし、子どもは成長するにつれてだんだんと自我が芽生え、自分の世界を持つようになります。そうすると母親から離れて自立し始め、そばにいなくても極端な不安は感じなくなるのが一般的です。
3歳頃までは発達上の自然現象とされていますが、ある程度の年齢になってからはストレスの影響で母子分離不安が起こるようになります。3歳以降の母子分離不安は、子どもからの何かしらのサインなので、十分に注意しなければなりません。
母子分離不安の原因
先ほども出てきたように、小さい頃の母子分離不安は、子ども特有の性質と考えて問題ありません。いわば自己防衛本能の一つであり、一時的に母親と離れたとしても、不安に感じる必要がないと気づいて自然と落ち着きます。もし泣き出してしまっても、放っておいてしまう方が逆効果なので、小さな子どもなら当たり前と思ってしっかりと受け止めてあげるのがベストです。
しかし、幼稚園や学校に通う年齢の母子分離不安には、ストレスによる原因も考えられます。例えば通園・通学が始まり、周囲の環境の変化についていけず、慣れない集団生活や家とは違う空間に不安を感じるケースは少なくありません。
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また、お母さんに甘えづらい環境に変化したことでストレスが溜まり、母子分離不安になる場合もあります。例えば、弟や妹が生まれて下の子に掛かりきりになり、なかなか上の子と遊ぶ時間が取れなかったり、復職して子どもと遊ぶ時間が減ったりというような場合が当てはまります。自分の母親を取られたような気持ちから母子分離不安が起こるケースです。
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母子分離不安による行動例
では実際に子どものどのような様子が見られたときに、母子分離不安になっていると考えられるのか、以下の3つの具体的な行動例も見ていきましょう。
常に母親のそばにいたがる
非常に分かりやすいケースではありますが、母親に対して依存的な態度を示すのは母子分離不安の大きな特徴です。何度も抱っこを要求してずっとしがみついていたり、常に膝の上に乗りたがったり、スキンシップが激しくなる傾向もあります。その他にも、着替えやお風呂など、今まで一人でしていたことができなくなるのも、母子分離不安での行動パターンの一つです。
また、母子分離不安では、母親を独占しようとする様子も見られます。母親が一人で出かけるのを嫌がる・常に付いていきたがるなど、そばから離れるのを過度に拒否する行動をします。さらに、父親やきょうだいを敵視するといった姿を見せることもあり、あまりに極端な甘え方をするのも母子分離不安の影響です。
寝つきが悪くなる
母子分離不安では、神経的な負担から、子どもがあまり眠れなくなるケースも見られます。さほどお昼寝もしていないのに寝つきに時間が掛かる・何度も目を覚ますなど、大人のストレス症状とよく似た様子が出始めるのも、母子分離不安の傾向です。場合によっては悪夢にうなされていることもあり、子どもの睡眠の質が悪くなった場合には、母子分離不安の可能性があります。
また、一緒の布団で寝ようとするなど、先ほどの例のように母親のそばにいたがる行動をはじめ、電気を消すのを嫌がったり暗い部屋に一人で行けなくなったりする場合もあります。母子分離不安では、恐怖に対して敏感になる特徴もあり、今まで怖がらなかったことを極端に避けようとするのも特徴の一つです。
一人で出かけるのを嫌がる
母子分離不安のときには、一人になるのを避けたり他の人との関わりを嫌がったりする傾向があります。例えば、今までは一人で公園に遊びに行っていたのに、外に出ようとしなくなるといった行動が当てはまります。母親がそばにいないと何もできない・友だちと遊ぶのを拒否して家に居たがるといった、自分の殻に閉じこもる様子を見せるのも母子分離不安の特徴です。
さらに母親と離れることに極度の不安を感じているため、一人で出かけると迷子になったり誘拐されたりしそう、というように、普段よりも大げさに心配する姿も見られます。同様の心理として、一人での留守番を非常に怖がるケースもあり、人との距離感がうまく取れなくなるのも母子分離不安による影響の一つです。
母子分離不安が強くなると体にも症状が出てくる
母子分離不安になることで子どもにストレスが掛かると、身体的な影響が出てくるケースもあります。例えば幼稚園や学校に行く時間になると、頭痛・腹痛・吐き気などの症状が現れることも。他にも、食欲不振・めまい・夜尿・頻脈というような体調不良で、日常生活に支障をきたす場合も少なくありません。
さらに、母子分離不安が4週間以上続く際には、医師をはじめとした専門家の治療を要する分離不安症の疑いも出てきます。分離不安症は成人でも患う可能性があるもので、家や愛着を持っている人物と離れることに過剰反応を示す病気です。長期的な母子分離不安から転じて発症する場合もあり、あまりに長い期間続いている際には一度診断する必要があるでしょう。
もし分離不安症の心配があるときには、各自治体の子ども家庭支援センターや保健センター、専門のカウンセラーに相談することをおすすめします。状況に応じて医療機関の推薦や、ケアに向けたサポートを受けることが可能です。また小児科や児童精神科など、医師に直接診察してもらうのも一つの手でしょう。
子どもに母子分離不安が見られたときの対処法
ここまでご紹介してきた母子分離不安の傾向が見られたとしても、基本的には適切にケアしていくことで解消できます。特に親側が深刻に悩み過ぎてしまう方が悪影響なので、まずは成長過程の一つと捉えて、焦らずにお子さんに寄り添っていくことが大切です。具体的には、次のようなフォローをしてあげると良いでしょう。
日常生活で親子の時間を増やす
母子分離不安を取り除くのに重要なのが、親子の信頼関係をしっかりと築くことです。親から深い愛情を注がれていることが理解できれば、だんだんと母子分離不安はなくなっていきます。離れていても確かな安心感を持たせることが大事なので、まずたくさん親子でふれあうことから始めると良いでしょう。
ゆっくりお散歩する時間を作ったり、好きなおもちゃで一緒に遊んだり、何でも構いません。お手伝いをお願いして、共同で何か作業するのも一つの方法です。親子の時間をたっぷりと取って、お互いにじっくりと向き合いやすい機会を増やしていきましょう。
段階的に離れられるように促す
そばにいなくても安心できることが分かるように、少しずつ離れる練習をするのも良い方法でしょう。もちろんただ放置するのではなく、「○○して戻ってくるから少し待っていてね」など、不安にさせない言葉を掛けて慣れてもらうことが大切です。
さらに最初は目に見える位置だったり、トイレに立つくらいの数分にしたりと難易度の低いことから始め、徐々に距離や時間を取っていくようにします。そしてきちんと待っていられた後には、忘れずにきちんと褒めてあげるようにしましょう。
子どもが不安にならないような言葉で誘う
生活が新しく変わるときには、大人にとっても何かしらの心配事は付き物です。特に子どもはあらゆる経験がないため、漠然とした不安に向かっていくことになります。そこで少しでも良いイメージが持てるように、これからの楽しみや期待を分かりやすい言葉で伝えてあげることも重要です。
「幼稚園に行けば○○で遊べるよ」「仲良しの○○ちゃんも一緒だよ」など、ポジティブな言葉であらかじめ誘導して、準備しておくのも一つの方法でしょう。とにかく安心感を与えることが、母子分離不安をやわらげる近道です。
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親が不安な様子を見せない
子どもは親のことをとてもよく見ているので、少しでも様子がおかしいと敏感に察知します。親の不安は子どもに自然と伝わってしまうため、あまり気にし過ぎてしまうと、余計に状況を悪化させてしまうでしょう。
悩まない方が難しいかもしれませんが、きちんと親がサポートしてあげれば決して長引くものではありません。親子の今までの関係性があるからこそ、子どもは親と離れたくないと感じてしまうものです。大人でもあるように、少し新しい環境に戸惑っているくらいに捉えて、なるべく気楽に構えているのがベストな対処法でしょう。
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うまくできなくても不安に感じず子どもと向き合おう
母子分離不安は誰にでも起こる可能性があるもので、他の子と比べて過剰に心配をすることはありません。まずは何よりも親子の関係を信頼してもらうことが大切なので、むやみに反応し過ぎるのではなく、じっくり向き合って寄り添う姿勢を見せるようにしましょう。
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母子分離についてよくある質問
母子分離に関する相談でよくある質問をまとめました。(タップして回答内容を確認)
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