「抽象化能力」とは何か?
まずは、少し堅い印象の言葉である「抽象化能力」って、そもそもどんな意味なのかを見ていきましょう。
「抽象化能力(Abstraction Ability)」は、情報や概念を簡略化し、重要な要素やパターンを抽出する能力を指します。簡単にいうと、【物事に大きなまとまりを見出してグループ化して考える能力】になります。
例えば、一匹一匹の鳥はそれぞれ個性も違い、同じ種族でも見た目や鳴き声も微妙に違いますが、われわれは「羽を持った」「くちばしのある」「卵を産む」生き物を「鳥」として、まとめて考えることができます。この「抽象化」と言葉の発達によって、人類はコミュケーションを活発に取れて進化してきた、と言っても過言ではありません。
「抽象化能力」は人類が高度な活動をおこなうために必須の能力
この「抽象化能力」は、コミュニケーションだけでなく、情報処理や問題解決、学習など、人間が高度な活動をおこなう際には欠かせない能力といわれています。
「抽象化能力」は、多くの仕事や職業において重要です。例えば、プログラミングでは「抽象化能力」を生かしてコードを設計し、一般的なアルゴリズムを開発します。また、科学者は実験結果から一般的な科学法則を導き出すために「抽象化」し、教育者は複雑な概念を生徒に伝えるために抽象的な表現方法を使います。
また、仕事や勉強だけでなく運動でも、例えば相手の傾向をパターン化して理解するなど、レベルの高いプレーをしよう思うと「抽象化能力」が問われるようになります。
物事を「抽象的」「普遍的」に捉えられる能力が、いかに自分自身の成長や人類の発展にとって重要かがよくわかると思います。
「抽象化能力」が高いことによるメリット
そのようなわけで、当然ながら「抽象化能力」が高いとさまざまな面で多くのメリットが得られます。以下にその内容を挙げていきます。
1.問題解決能力が高くなる
抽象化能力が高い人は、複雑な問題や課題に対して効果的な解決策を見つける能力が高まります。物事に共通するパターンや原則をいち早く理解し、それを異なるシーンに応用できるため、効率的に問題を解決できるようになります。
2.創造性が高くなる
抽象化能力が高い人は、新しいアイデアや概念を生み出すのが得意です。異なる視点の情報や気づきを組み合わせて、今までになかったまったく新しい視点から物事に取り組めます。
有名な芸術作品も、人間の喜びや悲しみ、怒りといった感情を、風景や人物などの特徴と組み合わせて抽象化したものが多いと思います。
3.コミュニケーション能力が高くなる
抽象化能力が高いと、複雑な情報を他の人に効果的に伝える能力が向上します。情報を要約する力、共通に理解できる言葉を見つけることが上手で、コミュニケーションが円滑になります。
会社や日常の会話でも、話が上手だなと感じる人はこの要約する力、まとめる力が高い人であることがほとんどです。そのような人は、一個一個の事例を誰もがすんなり理解できる表現に抽象化して置き換える力が高いのです。
4.多様なスキルの習得が容易になる
抽象化能力が高い人は、異なる分野でもスキルを習得しやすく、新しい事柄をすんなり理解できます。新しい知識やスキルを取得しようとする際に、共通の原則を見つけ出すのが上手であるためです。
5.リーダーシップが高くなる
抽象化能力が高い人は、複雑なプロジェクトや組織をリードするのに適しています。大局的な視野を持ち、戦略的な意思決定をおこなうには、物事を普遍的にとらえる能力が必須で、リーダーと呼ばれる人はおおむね皆抽象化能力が高いことが多いと感じます。
6.自ら成長することができる
抽象化能力が高い人は、自己成長に向けての努力が得意です。新しいアイデアや知識を、これまでの経験を抽象化して共通のものとしてとらえるのが上手く、自分自身で物事を理解し努力できるのです。
7.柔軟性が高くなる
抽象化能力が高い人は、異なる状況や変化に適応しやすいのが特徴です。新しい情報や状況に対して柔軟に対応できるため、人生のさまざまな局面で有利となり、特に先の見えない昨今の世の中では重要な能力といえると思います。
このように、抽象化能力が高いことは仕事面でも学習面でも芸術面でも、さらにはコミュニケーション力や問題解決力などでも、さまざまな側面で優れた成果と成功につながる非常に重要な能力といえます。
「抽象化能力」はどのように育てる?
では、この非常に重要な「抽象化能力」はどのように、いつから育てることができるのでしょうか?
抽象化能力は年齢に依存せず、生涯にわたって伸ばすことのできる能力といわれています。たとえば幼少期ならば、子どもの自然な好奇心を生かし、物語や遊びなどを通じて抽象的な概念を理解する力を育てられますし、青少年から大人になっても勉強や仕事のなかで、物事を高次にまとめる力が問われ、鍛えられるシーンは多々あります。
とはいえ、いつでも育てることができるならば、親としては幼少期のうちからこの重要な能力を育ててあげたいと感じると思います。ここからは、特に幼児期(3~6歳)ごろの子どもの「抽象化能力」を育ててあげるにはどのようにすればよいか、を見ていきます。
幼児期の子どもの「抽象化能力」を育てるために親ができること
幼児期の子どもの抽象化能力を伸ばすために、親ができうることは以下になります。
1.子どもとの会話や質問をたくさんする
子どもとたくさん話をしたり、会話の中で積極的に質問して、子どもたちの好奇心を刺激してあげましょう。例えば、「なぜそう思うの?」「どうしてそれが起こったのか考えてみて」などの問いかけを通じて子どもが考えるように促すのは、抽象化能力を鍛えるのに大いに役立ちます。
2.本や物語の読み聞かせをする
本を読み聞かせしたり、創作したお話をしてあげることで、子どもは抽象的な概念や道徳的な価値観を理解するようになります。読み聞かせする本は絵本でも構いませんが、成長に応じて文字だけの本も読ませてあげましょう。
子どもと一緒に本を読むことは抽象化能力の発達だけでなく、言語の発達や情緒の安定にも大きな効果があるので、ぜひ積極的に取り入れてくださいね。
3.創造的な遊びを一緒にする
子どもに創造的な遊びを教えてあげて、一緒に取り組むのも効果的です。例えば粘土やお絵描きやおもちゃの制作など、自分で物事を作りだす経験を積ませてあげることで、子どもの抽象化能力が成長していきます。
4.実験遊びをする
簡単な科学実験や観察を通じて、子どもに科学的な物事の考え方を伝えるのもよい方法です。例えば、水が上から下に流れるのを見せてその動きを観察させたり、他の場所で同じことをおこなうとどうなるかを聞いて見たりすることで、子どもが観察・仮説構築・結果を分析するようになり、抽象化能力の発達につながります。
子どもは知的好奇心の塊ですから、多いに楽しみながら能力を伸ばしてあげることができます。
5.アウトドア活動をする
キャンプなどでなくても、例えば自然の多い公園に連れていって探索することで、子どもが抽象的な自然現象や環境について学ぶことができます。植物や虫の観察、季節の変化の理解が抽象化能力の発展につながります。
6.パズルなどのゲームを楽しむ
パズルやゲームを通じて、問題解決のための能力と抽象的な思考を養います。ゲームをクリアするためには物事のパターンや傾向を抽象化する必要があり、成長のよい機会になります。
まとめ:幼児期の子どもにたくさんの「抽象化」の機会を与えよう!
いかがでしたでしょうか?
「抽象化能力」が、いかに子どもの将来にとって重要な能力であるか、また幼少期から子どもの抽象化能力を伸ばすためには、一つ一つの活動は特別なことではなく、日常の生活の中でできることばかりですが、親が子どもにしっかりと向かい合って、さりげなく子どもに促してあげることが大切であることがイメージできたかと思います。
子どもの個性や興味を尊重しつつ、たくさんの楽しい経験やコミュニケーションのなかで子どもの成長を促すことが大切です。子どもだけでなく親も一緒になって楽しんで、子どもの「抽象化能力」を育ててあげてくださいね。
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