子どもがおもちゃを貸さないわけ
友だちとの間だけではなく、兄弟姉妹の間でも「上の子が下の子におもちゃを貸してあげない」といったことはよくあると思います。「お兄ちゃんなんだから貸してあげなさい!」などと注意しても全く効果がない、なんて経験をした方も多いと思います。
では、子どもがおもちゃを「貸さない」「貸せない」のには、いったいどんな理由があるのでしょうか。
1.子どもは「自分が中心」であるため
自己中心的、すなわち自分のことだけ考えて相手のことを考えられない。大人からすると、わがままで良くないことのように感じられると思います。しかし、6歳くらいまでの子どもは「自分」を中心とした視点でしか物事を認識することができません。そのため、他の人がどう思うか、ということには気付くことができないのです。
これはいわゆる「わがまま」とは違います。まだ、子どもはそこまで成長できないというだけです。
この時期に子ども同士で関わり合い、思い通りにならない経験などを積むことで、子どもは少しずつ自分とは違う相手を認識し、コミュニケーション能力を伸ばしていくのです。
2.独占欲が強いため
独占欲とは、特定の相手や物を独り占めしたいという欲求のことです。 これは年齢や性別に関係なく誰もが持つ欲求です。恋愛だったり、友情だったり、社会的地位だったり、人は色々なものに執着するものです。子どもも「おもちゃを独占したい」と思う気持ちが特に強い場合には、大人よりもストレートに他の子どもに貸さないという行動に現れがちです。
3.未来の予測がまだできないため
幼児期の子どもは未来や結末を予測することがまだまだできません。だから、「今貸してしまったらもう戻って来ない」と思ってしまうのです。戻って来ないと思ったら、当然ながら子どもはおもちゃを貸してあげたいと思えません。未来を予測する能力は、たくさんの人生経験を重ねる中で徐々に身についていくものなので、今はまだできなくても当たり前なのです。
4.過去の苦い経験によるもの
お子さまに「貸してあげる」を強要してしまったことはないでしょうか。せっかくおもちゃで楽しく遊んでいたのに、「〇〇ちゃんも遊びたいから貸してあげてね」と無理やりとられてしまった経験があったり、おもちゃを貸した後に、おもちゃが壊れたり返ってこなかったりした経験があると、おもちゃを貸すという行為が「いやなこと」としてインプットされてしまい、「貸してあげない」という行動につながってしまいます。
どうすれば子どもがおもちゃを貸せるようになる?
基本的には時間とともに言葉をたくさん覚え、物事や状況を的確に理解できるようになれば、「おもちゃを貸す」という行動もしっかりと理解できるようになります。そのため親はあまり心配せず、子どもたちの間に介入しすぎず、まずはお子さまの気持ちに寄り添ってあげることが、これからのお子さまの成長によりよいサポートとなるでしょう。
1.理由を聞いて共感してあげる
あなたが本を読んでいたとします。読んでいる途中で「その本貸して」と言われたら素直に貸すことができますでしょうか? 「え?今読んでる途中なのに」と感じるかと思います。
子どもも同じ状況かもしれません。楽しくおもちゃで遊んでいたのに、突然「貸して」と言われても、快く「いいよ」なんてきっと言えませんよね。
まずはお子さまのお話に耳を傾けることから始めましょう。
「なんで今貸せないのかな?」と聞いてみてあげてください。
「このおもちゃでもっと遊びたいの!」「私のおもちゃなの!」と思っているとしたら
「そっか、もうちょっと遊びたかったんだね」
「自分のものが取られちゃうのが嫌だったんだね」
などと言葉にしてあげれば、自分の気持ちを分かってもらえた!と気持ちを切り替えるきっかけにもなるでしょう。
2.言葉で伝えるためのヒントを与える
貸さない理由がもっと遊びたいからなのであれば、「もう少し遊びたいから、もうちょっと後でもいい?」と伝えたり、「今使っているから、後でね」と、子どもが説明できるようになれるとよいですよね。
最初から1人で言うことは難しいですから、初めは親が手伝って一緒に言ってあげるようにしましょう。「今貸してあげる?それもと後で、って言う?」と、選択肢を与えてあげるのもよい方法です。自分の気持ちを伝えることでその後にどんなことが起こるのか、を学んで、未来を予測する能力を育てていけば、自然と貸し借りもできるようになってきます。
今すぐできる貸し借りの練習方法
さて、ここからは幼児期のお子さまにぴったりな、貸し借りが上手にできるようになるための練習方法をお伝えいたします。ぜひお子さまと一緒に試してみてくださいね。
1.時間や期限を決めてあげる
ある程度貸すということに慣れてきた時や、ブランコやすべり台のように一つしかない遊具で遊ぶ時には、時間や期限を決めて交代する練習をすると効果的です。
「3回やったら交代しよう」「10数えたら終わりにしようね」と伝えると、終わりを意識して遊ぶことができるようになります。5、6歳になって時計が読めるようになっているのなら、「短い針が3のところにいくまでね」と声がけすれば、時間をみる練習にもなります。
また、「もっと遊びたければ、もう一度順番を待てば遊べるよ」と伝えると、スムーズに貸せることもあります。少し先の未来を予測する能力を育てることもできますよ。
2.家でも貸し借りの経験をつむ
おうちでお子さまと遊んでいる時、親から「これ貸して」といったやり取りをしているでしょうか?
初めのうちは、お子さまがあまり興味を示していないものからで構いません。貸してくれたら、「貸してくれてありがとう!〇〇ちゃん優しいね」と大いに喜んであげましょう。逆に、親が使っているものを「貸して」と言ってきたら、「どうぞ」とか「今使っているからちょっと待ってね」と対応のお手本を見せましょう。
子どもは親のすることを真似するものですから、親がいつもお手本を見せていればお子さまも自然と同じような行動をとるようになります。
3.借りたい側の子どもにも声がけをする
貸し借りでのトラブルの場合、貸さない側だけが注目されがちですが、貸してほしい側にも状況や気持ちを教えてあげることが大切です。
「〇〇ちゃんがまだおもちゃを使っているんだって。終わったら貸してもらおうね。」
「〇〇くんが貸してくれたよ。よかったね。貸してもらえたらなんて言うんだっけ?」
など、自分が借りる立場になったときのことも教えていけば、「貸す側」「借りる側」両方の気持ちを学ぶことができます。
まとめ:子どもに貸し借りを教えるうえで一番大切なこと
お友だちに「貸して」といわれたら無条件に「いいよ」と言えるのがよい子というわけではありません。まだ遊びたいのに「いいよ」と貸すのが当たり前だと教えられて、自分の気持ちを言えなくなってしまうようでは、その後の成長に支障をきたしてしまいます。
大切なのは
・「自分がまだ使いたい」という気持ちを相手に伝える力を育てること
・「お友だちも使いたい」という相手の気持ちに気づく力を育てること
幼児期はまだ親の支えが必要な時期ですので、時間をかけて丁寧にお子さまと向き合っていきましょう。そうすれば、お子さまから自発的に気持ちよくコミュニケーションをとれるようになりますよ。
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