なぜ子どもは叩いてしまうのか?
一般的には2歳を過ぎたころから、叩くという行動が現れてきます。保育園や公園でお友達をたたいてしまって、ヒヤヒヤしてしまう経験をするのもこの時期からです。
では、子どもはなぜ叩いてしまうのでしょうか。
- 感情の制御ができない
- 上手に意思表現ができない
- 前にも叩いて欲しいものを手に入れた
- 家でも叩いて要望を伝えることが日常化している
- 兄弟が増えてストレスを感じている
- 人から叩かれるのを防ぐため
- 社会的な発達段階にある
などなど、理由は色々と考えられますよね。
その中でも今回特に注目したいのは、お子さまは今「社会的な発達段階にある」ということです。
お子さまがお友達を叩いてしまったりする時期は、ママもどうしたら良いのか困ってしまいますね。実はこれは成長の過程だなんて!どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
「社会的な発達段階」って何?
子どもの成長は人それぞれではありますが、ある程度共通した特徴があります。この共通する成長の特徴を「発達段階」と呼びます。幼児の発達段階では、それぞれの段階の課題を達成して子どもは成長します。子どもの発育段階は、「エリクソンの発達段階」にのっとって説明がなされるケースも多くあります。
精神科医、心理学者、そして発達心理学者であるエリク・H・エリクソン(Erik H. Erikson)は、その著書のなかで、
- 自己の独立心や自己主張を発展させ、自分自身をコントロールし始めること
- 自分から行動を起こす主体性を発展させること
を3〜6歳の時期の課題としました。
幼児期(3〜6歳)には、お友だちと遊ぶことを通して豊かな想像力をはぐくんだり、相手の気持ちになって考えたり、自分の思い通りにはならないことがあるということを学びます。そして、自分の気持ちや意思を表現し、相手に伝えることを覚えていきます。このような体験を通じて、道徳性や社会性の基盤がはぐくまれていく時期なのです。
いっぽう、5歳くらいまでのお子さまはまだまだ言葉の発達が十分ではなく、自分の意思を相手に伝えることが上手にできない場合があります。
そのため
「そのおもちゃで遊びたいのに他の子が遊んでる」
「今は一緒に遊びたくない」
といった気持ちをあらわす時に、言葉ではなく手が出てしまいがちです。「叩く」ことで自分の気持ちを表現しているのです。
つまり、幼児期の子どもはまだ言葉の発達が未熟ながらも、意思表示を通して社会性を身に着けていくべき時期であり、時に思い通りに気持ちを伝えられず叩いてしまうのも自然なことなのです。
だから、「うちの子は暴力的だ!」と過度に心配する必要はありません。しかし、子どもの社会性の発達を考えると、もちろんそのまま放っておいてよいものでもありません。適切な対応をして、正しくお子さまを導いてあげることが大切です。
お喋りがまだ上手ではないから、気持ちを伝える手段が叩く行為になってしまっているということだね。実際にどう導いていってあげたら良いのか、一緒に見ていきましょう。
お友だちを叩いてしまったらどうするべきか?
もし、お子さまがお友だちを叩いてしまったらどうすればよいでしょうか。ポイントは3つです。
1.まず親が謝る
けがをさせていないか確認をして、まずは親が叩かれた子どもとその保護者に謝りましょう。
「びっくりさせてごめんね」「痛かったよね」と優しく声をかけてあげてください。謝るところを見せることで、お子さまは「叩くのはいけないことだ」と学ぶことができます。そして、お子さまには毅然とした態度で「人を叩いてはいけないよ」と語りかけましょう。
ポイントは、決して感情的にならないこと。
もしお子さまが興奮しているようだったら、それ以上手を出さないようにぎゅっと抱きしめてあげましょう。
2.叩いてしまった理由を子どもに聞く
次に、お子さまの気持ちが落ち着いてきたら、「どうして叩いてしまったの?」と優しく理由を聞いてあげてください。
まずはじっくり話を聞いて、「こういう気持ちだったのね」「こうしたかったのね」と理解を示してあげましょう。怖い声で話したり、叱ったりする必要はありません。大切なのは、お子さまの抱えているモヤモヤを聞いてあげること。子どもがうまく言葉にできない場合には、「こういうことかな?」と気持ちを代弁してあげるのもよいでしょう。
お子さまの言うことがうまく理解できないときは、お子さまが口にした言葉をそのまま『オウム返し』で答えてあげるだけでも、お子さまは理解しようとしてくれたと思い安心してくれますよ♪
3.一緒に解決策を考える
叩いてしまった理由を確認できたら、「じゃあ、どうしたらよかったかな」と解決策をお子さまと一緒に考えましょう。
3~6歳くらいの子どもは、叩くことがいけないことというのを何となく理解はしていても、つい手が先に出てしまうものです。
「お友だちが持っているものを使いたい時には、『貸して』って言うといいよ」とか、「今は本を読んでいたいなら『今は本を読んでるから後で遊ぼう』って言ってみるのはどう?」など、相手に言葉で伝える方法を丁寧に教えてあげるのもよいですね。
5~6歳のお子さまであれば、「こういう時はどうすればよかったんだっけ?」と自分で考える機会を与えてあげましょう。考えることで「次はこうしよう」という学習につながり、自分をコントロールする力がついていきます。
4.言ってはいけないNGワード
お子さまが叩いてしまったことに慌てて、「うちの子が悪いです」と親が言ってしまうのはNGです。「自分は悪い子なんだ」という気持ちを植え付けてしまいます。親はあくまでも子どもたちの仲介人として、言葉を代弁したり、力を貸してあげるにとどまりましょう。
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お友だちに叩かれてしまった場合の対処法
反対に、自分の子どもがお友だちに叩かれた場合はどうすればよいでしょうか。お子さまがしょんぼりしていたり、幼稚園に行きたくないと言いだしたら心配になってしまいますよね。
この場合もポイントは3つです。
1.まずは親が落ち着く
人の痛みというものは自分が経験しないとわかりません。ですから、「子どもは成長するための大切な経験をした」と捉え、まずは親が落ち着くように努めましょう。そして、「それは痛かったね」「嫌な思いをしたんだね」とお子さまの気持ちに寄り添ってあげてください。お子さまが不安を感じているようであれば、ぎゅっと抱きしめて安心させてあげましょう。
2.子どもに聞いて状況を把握する
その後、「何をしている時に叩かれたの?」「先生も近くにいたの?」など、叩かれた時の状況を子どもに聞いてみましょう。お子さま側からの見方をしっかり把握したうえで、次に進むことが大切です。
3.関係者に相談してみる
叩かれたのが保育園や幼稚園での出来事であれば、先生に相談してみましょう。もし先生が状況を把握していないようであれば、さりげなく見守ってもらえるようにお願いするとよいでしょう。家庭でも「今日はどんなことがあった?」と日々の様子をお子さまから聞くように心掛け、先生方と連携をとっていくようにするのが大切です。
子どもがお友達を叩いてしまうことに関するよくある質問
子どもがお友達を叩いてしまうことに関する相談でよくある質問をまとめました。(タップして回答内容を確認)
まとめ:まず親が冷静に子どもの行動を受け止めてあげることが大切
いかがでしたでしょうか。
お子さまの問題と思われる行動にも必ず理由が存在する、ということがお分かりいただけたと思います。理由が分かれば対処法も見えてくるものです。
叩いてしまった時でも、叩かれてしまった時でも、親が慌てることなくしっかりお子さまと向き合って一緒に成長していきましょう。
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