わがままってどういうこと?
「わがまま」を辞書で調べると、「他人や周囲などの都合や事情を考えずに、自分勝手に振舞ったり発言したりすること」と書いてあります。まさに、子どもの様子そのものですよね。子どもは自分の欲求をストレートに伝えてきます。そしてそれが叶わないと泣きわめくなど大人が困る行為をします。
自分の欲求をストレートに表現すること自体は「自己主張」にあたります。自我が目覚め、自分のやりたいことが明確になった証拠です。わがままではありません。
いっぽう、欲求が叶わなかった時に子どもが泣きわめいたりすると大人は「わがまま」だと思います。しかし、これもまた子どもの成長過程の一部であり、否定することではないのです。わがままは子どもの成長過程であり、叱る必要のないものだということはしっかり頭に入れておきましょう。
子どもがわがままなわけ
さて、ここからはなぜ子どもがわがままになるのか、その理由を見ていきましょう。
自分が世界の中心にいる
まず、子どもは誰しも自分が世界の中心だと思っています。一般的に使われる「自己中心的」に似ていますが、そうではありません。
自己中心的というのは、自分の欲求を満たすために、他人を無視したり、蹴落としたりすることです。ここでは「他人」が意識されています。
いっぽう、子どもの場合「他人」はまだ認識できないため、無視することも蹴落とすこともできません。ただただ、自分の気持ちを表現しているだけなのです。しかし大人はこれを「わがままだ」と感じてしまうのです。
語彙力が少ない
就学前の子どもはまだ言葉を多く知りません。ですから、自分の気持ちを上手に伝えることができません。そのため、不満や欲求を伝える一つの手段として泣きわめいたり、ジタバタしたりという行動をします。それが大人には「わがまま」と映ってしまいます。
親の気をひきたい
大人にかまってもらいたい時にわがままな言動をする子どもは多くいます。特に親の気をひきたい時が多いですが、保育園や幼稚園に通っている場合は先生の気をひきたいがためにわがままを言うこともあるでしょう。
これまでわがままを言わなかった子どもでも、下の子どもが生まれてお兄ちゃん・お姉ちゃんになったとき、親の気を引くためにわがままを言うことも多いものです。これまで自分だけに注がれていた愛情が、弟や妹に向いていることを感じ、「愛情が欲しい」とアピールしているのですね。
こだわりが出てきた
5~6歳になると自分のルールが出来あがってきます。それにより「こだわり」が生まれます。折り紙を折っても頭でイメージしているように完成しないと「こうじゃない!」と癇癪を起こしたり、食事の時も「この食べ物はこのお皿」と決めていたり…。
これらは精神的に発達してきた証拠で「わがまま」ではありませんが、大人からは「わがまま」に見えてしまうのです。
自己抑制力が低い
自己抑制力とは、自分の意思や欲求を制御しなくてはいけない時に抑制できる力のこと、すなわちがまんする力のことです。3~6歳の子どもはこの自己抑制力が低いため、癇癪を起こしたり、ルールを守らずにやりたいことをやってしまうのです。
わがままにはがまんが必要?
子どもがわがままを言うと、たいていの大人は「がまんしなさい」と言うでしょう。しかし、先ほどもお伝えした通り、子どもは自己抑制力=がまんする力が低いので、「がまんしなさい」と言うことはさほど意味がありません。
日本人はがまんすることを美徳のように言いますね。では「がまん」とはどういうことか説明ができますか? 「がまん」は元々仏教用語で「我を立てる気持ちが強すぎ、自らを高しとする念が常に全面に出る意」だそうです。
要するに、「自分をえらいと思って、他人を軽んじること」という、あまりよくない意味がありました。
しかし現在辞書で調べると、「精神的、肉体的に苦しいことがあっても、意地でしのぎ通し、弱音などをはかないこと」とあります。時代と共に捉え方が変わってきた言葉のようです。
がまんの種類としては、以下のようなものが挙げられます。
- 痛みなどに耐えること
- 長時間過ごすことに耐えること
- 耐えて努力をすること
- 冷静に対処するため怒りや不安などの強い感情を抑えること
- 困難に立ち向かうための強い意志力や忍耐力
これらを見てみると、がまんとはさまざまなことに耐えて頑張る力と言えそうですね。子どもにこの力がつけば、わがままをコントロールできそうです。では、子どものがまんする力を育んであげるためには何をすればいいでしょう。
がまんする力を育てるには「未来を予測する力」をつける
がまんをするためには、未来を予測する力が必要です。
心理学者のウォルター・ミシェルが1960年頃に実施した、子どもの自制心と将来の社会的成果の関連性を調査した有名な実験に「マシュマロ・テスト」があります。
当時4歳の子どもたちの前にマシュマロを置き、15分食べずにがまんできたら、より多くのマシュマロを手にすることができると説明しました。この実験で半数の子どもは15分経過する前にマシュマロを食べてしまいました。
その後も子どもたちを追跡調査した結果、がまんができた子どもはできなかった子どもよりアメリカのSAT(大学進学適正試験)の平均点が高く、大人になってからも高収入となりました。
この実験により「先を見通して行動する」ことの重要性が注目されたのです。この実験自体は賛否両論ありますが、「先を見通して行動する」ことはがまんするためにはとても大切なことです。
子どもは大人と比べ「未来を予測する力」が低いものです。大人でも先が見えないことに耐えなさい、と言われればそれは大変な苦痛となるでしょう。しかし、「こうすれば、この先にこういうことが待っている」ということが予測できれば、がまんができるかもしれません。
では、未来を予測する力はどのようにつけていけばいいでしょうか。それは「想像力」を伸ばすことと多くの「経験」をさせることです。
想像力を伸ばす
子どもの想像力を伸ばすと聞いて、真っ先に思い浮かぶのは「本を読むこと」でしょう。本を読むことは目に見えない世界を頭の中で想像することです。体験したことのないこと、実際にはありえないことも本を読むことで想像することができます。
また、ごっこ遊びでも想像力は育ちます。言葉でイメージを友だちと共有できるようになると、役になるためにしっかり観察をし、「こういうことをしたらこういう反応が返ってくるだろう」と想像しながらストーリーを作っていくようになります。
多くの経験をさせる
これは大人にも当てはまりますが、先を予測するためには多くの経験が必要です。仕事でも経験から「きっとこうなるからこうしたほうがいい」とか「こうしてみよう」といった工夫が生まれるものです。
ですから、子どもにもさまざまな経験をさせてあげましょう。生活の中の身近なことでかまいません。例えば、氷を放置すると水になる、窓を拭くとピカピカになる、など「〇〇することでこういう結果が得られる」という経験をたくさんすることで、「こうするとこうなるかもしれない」と予測を立てるということができるようになります。大人が「こうしたからこうなったんだね」と丁寧に説明しながらやるのもよいでしょう。
まとめ:成長過程を楽しみましょう
魚類学者のさかなクンは、小さいころお母さんと水族館に行って閉館時間までタコの水槽の前にいたことがあるそうです。もし、お母さんが「帰るよ」と声をかけて、さかなクンが「帰りたくない」と言っていたとしたら、これはさかなクンの「わがまま」かもしれません。
しかし、この「わがまま」があったからこそさかなクンは学者になることができた、と思えば、わがままも大切なことだと思えますね。わがままを悪いことと決めつけず、子どもの成長を楽しむつもりで見守りましょう。
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