日本人にあった栄養バランスとは?
【コラムNO.68「食育」について~子どもの好き嫌いへどう対処するか~】に引き続き、健康の基盤を築く「食事」についてお伝えいたします。この一連の話は「生涯の健康的な食習慣の基本」をお子さんの味覚と心に刷りこむ大切な内容ですから、まだ母乳やミルクのお子さんをもつお母さんもぜひ今のうちから参考にしてみてくださいね。
【コラムNO.68「食育」について~子どもの好き嫌いへどう対処するか~】では、栄養のバランスは考えなくてもよいとお伝えしましたが、そうはいってもやはり目安がある方が献立も考えやすくなるので、今回は「何を」「どのくらい」食べたらよいかという能動的な内容をお伝えいたします。
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動物の「歯」の形状と食事の関係性について
モンシロチョウがなぜキャベツ畑に卵を産むのかといえば、そう、幼虫がアブラナ科の植物の葉を食べるからです。カブトムシの口がブラシのような形をしているのは、樹液を舐めるためです。
また、草食動物である象の歯は臼歯が発達しているのに対し、肉食動物は鋭い歯が発達しています。このように自然界の中で「動物の住む場所」と「口の形」と「食べるもの」とは非常に密接な関係があります。
そしてまた「歯の形状」と「消化器官・排泄器官の形状」も非常に深い関係があるのです。肉食動物の腸が短く、草食動物の腸が長いのもこのためです。
ですから「歯」の形状をみればその生き物が食べるべき「食」も見えてきます。
【ご飯:野菜:タンパク質=3:2:1】の食事が子どもの理想
人間の歯は、大臼歯3本・小臼歯2本・犬歯1本・切歯つまり前歯2本の配列で、左右と上下に32本あります。臼歯は穀物、門歯は野菜・果物、犬歯は肉・魚を食べるのに適しています。
そこから考えると、ご飯と野菜と肉・魚の摂取比率は5対2対1と言えます。
そして子どもの場合は6歳臼歯までを想定しても、まだ臼歯8本がないので【穀物:野菜:肉 = 3:2:1】が適切であると考えられます。
「食性」にあった食事をとることで健康を維持できる
このように動物が進化の過程において身体の形状に合った決まった食事をとることを「食性」といいますが、どのような動物でも「食性」に合った食事をしなければ病気を引き起こしやすくなります。
現在主流の「栄養学」は西洋人向けのもの
実は、現在主流となっている「栄養学」は1800年代後半にドイツで生まれたものです。植物が育たない過酷な寒冷地で生きたドイツの人々は、長い歴史の中で「腸が短く、動物性食品の摂取」に適した内臓器官が発達していきました。
ですから、当時のドイツ人に合わせた「バランスの良い食事」は、住環境の異なる日本人にとっては明らかに「タンパク質の過剰摂取」と言えますし、その食習慣を日本人に当てはめることは適切ではないと考えられます。
さらに、最近の日本人は顎が小さくなって親しらずや第二大臼歯が未発達な人も増えてきました。電気のない時代と比較すると人の運動量は格段に減っているので、体を動かすためのデンプン質を昔ほど摂取しなくてもよくなったのかもしれませんが、少なくとも日本人は、【ご飯:野菜(果物):肉(タンパク質)を 3:2:1】の比率で食べることがのぞましいと考えられます。
子どもの献立づくりの考え方
それでは、ここからは具体的に子どもの食事を作るにあたっての考え方を見ていきましょう。
子どもの献立づくりは簡単!
では実際の献立づくりを考えてみましょう。小さなお弁当箱をイメージしてください。この半分にまで「ご飯」を入れます。残りの半分の部分の3分の2に野菜。そして残った部分に魚か肉です。
なんだか簡単に思い描けたでのではないでしょうか?子どもは1食でこんなにわずかしか食べられないのです。
イメージするお弁当箱の大きさは、お子さんが普段実際に食べる平均的な量を想定してください。「食が細くて困るわ」と悩むことはありません。それがあなたのお子さんの「適量」なのです。決して他の子どもと比べてはいけません。
ただ、女の子は男の子よりも、平均して食事量はやや少なめだと感じます。
子どもの食べすぎが心配な人は…
逆に「食べすぎて心配」という方は、子どもの体格を観察してみてください。ちょっとコロコロしているようならば「食事量が多い」か「運動量が足りない」と考えられます。子どもの食事量が多くないか、食事内容にご飯以外の糖分が多くはないか、または一日の運動量も見なおしてみましょう。
この時期の子どもの体は「栄養摂取量」と「運動量」が適切ならば、みるみるしなやかな細身に引き締まっていきます。
大人も和食の粗食を心がけよう
「自然な食性」「健康な食習慣」には、日本人が長い間習慣にしてきた食事に立ち返ることが一番重要です。
子どもが3歳になるまでに「和食の粗食」に慣れる
お子さんが3歳になってから急に家庭の食習慣を変えようと思ってもなかなか難しいものです。今から少しずつ「和食の粗食」に家族全員が慣れることが大切です。もっとも粗食といっても、50年前まではそれこそが「ごく当たり前の一般的な家庭の食事」だったのですから、ご夫婦で一緒にこれまでの食事の概念を変えていければ、スムーズに移行できるのではないでしょうか。
ただ、ご主人がまだ44歳以下の場合は、少しだけコッテリしたものもつけてあげてください。
さらには、まだおっぱいの子には「母乳から適切な栄養を与えてあげる」事ができますので、母乳のご家庭ほど少しでも早く「食事の基本は和食」に移行することをおすすめします。
お子さんがある程度大きくなったら、親はフレンチでもイタリアンでも存分に召し上がれますので、子どもが9歳頃までは和食中心を心がけていきましょう。
「和食の粗食」の献立の考え方
では、献立についてですが、「ご飯」「味噌汁」「ぬか漬け」「少量のタンパク質」が基本となります。
玄米はタンパク質も含みますから、3歳未満のうちは玄米や雑穀米よりも、白米のご飯がよいでしょう。お母さんの中にはお味噌汁を具だくさんにして何品目もの栄養を摂ろうと考える方も多いのですが、あまり具だくさんにしなくて大丈夫です。特に夏場は具だくさんだと食べたくなくなるものです。
また、ぬか漬けはヨーグルトなどよりもはるかに優れた乳酸菌の宝庫です。漬け物にはラクトバチルス・プランタルム菌を始め、30種類以上もの有益な乳酸菌が含まれています。ただ、最近は調味液につけただけの“ぬか漬け風漬物”や“たくあん風漬物”などの方が数多く出回っているので、きちんと発酵させて作られているものを選びましょう。
タンパク源としては、納豆などがお勧めですが、毎日大豆では飽きてしまいますから、焼き魚や、たまには肉を取り入れるのも良いでしょう。
また、子どもの食卓には「水」も用意してあげてください。子どもは大人よりも体内水分量が非常に多いので、食事時に水があった方が食がすすみます。
まとめ:家庭の食事習慣はできることから少しずつ変える
いかがでしょうか、和食と言っても非常に簡単ではないでしょうか?
まずは、一日朝・昼・晩のどれか一回を「和食の粗食献立」にしてみると良いでしょう。
余裕でできる方は、さらに和食回数を増やしてみてください。
「家庭での食事習慣」を変えていくのは一朝一夕にはできないことです。少しでも理想の食事スタイルに近づけられるように、日々の食事を少しずつ少しずつ時間をかけて変えていく必要があります。
「一気に変えよう」とせず「できることから少しずつ」変えていけるといいですね。
レシピ集としては、幕内秀夫さんや新谷弘実博士の著書は使いやすく大変参考になるかと思います。
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