TVやDVDは子ども達にとって悪影響が大きい
先述のように、TVやDVDが子ども達にとって悪影響が大きい、という話は皆さまもよく耳にされていることと思います。
しかし現代社会においては、TVやDVD以外にもパソコン、タブレット、携帯電話・スマートフォン・携帯ゲーム機でも視聴できる時代です。また、子どもの知識や経験が深まるなどのよい影響を考え、教育的な目的で積極的に取り入れているご家庭もあると思います。
では、一体どのような部分が悪影響で、どのような弊害があるのでしょうか。ここではTVやDVDなどの映像メディアとの付き合い方について、一緒に考えていきましょう。
TVやDVDは子どもに良くないんじゃないか・・・と思う親御さんは多くいらっしゃるのではないでしょうか。具体的に何が良くないのかを見ていきましょう。
2歳未満の子どもへのテレビ視聴についての声明
アメリカとカナダの小児科学会では、1999年に2歳未満の子の脳発達のためにはテレビを一切見せてはならない、という声明を発表しています。日本でも2004年に日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会から「2歳以下の子供へのテレビ視聴は控えるように」という内容の勧告文が発表されました。
その理由として、「乳児期の脳の発達には、両親や他の大人たちとの直接的な接触が絶対に必要で、テレビはそれを妨げる」との見解が述べられています。また「夕方から夜にかけて、子どもにテレビを見せるのは、睡眠障害の原因となる」ともいわれています。
しかし、すぐにTVをやめる事ができる家庭は非常にわずかです。多くのお母さんはTVとの付き合い方に悩んでいます。
今日は先述の日本小児科学会・こどもの生活環境改善委員会のメンバーであり、早くから「新しいタイプのことばの遅れ」に警鐘を鳴らしておられた川崎医科大学小児科教授 片岡直樹先生の最新のご研究をベースに、TVと子どもの言語獲得の相関関係をお伝えさせていただきます。
「新しいタイプのことばの遅れ」とは?
運動機能や生活習慣は年齢相応に発達しているのに、言葉の発達が遅い、友達と遊べない、などコミュニケーションに問題を抱える子ども達が現在急増しています。これは、30年前には見られなかった新しいタイプの言語障害です。
最初は何が原因なのかわかりませんでしたが、生まれたときからテレビやビデオがついている環境で育った赤ちゃんや、あるいは0歳の頃はテレビを見せていなかったのに、1歳ごろからお母さんの家事の時間などによってテレビ漬けになった赤ちゃんだったことがわかってきました。
そして小児科医や発達の専門家からも、言葉の発達や表情が乏しかったり親と視線が合わなかったりという発達の遅れがみられて受診する幼児の中に、テレビの視聴を止めるとその遅れが改善する子ども達がいる、という報告が次々に寄せられていました。
この報告を受け日本小児科学会は1歳6ヵ月検診の子ども1900人を対象に、言葉の出現と日常的なテレビ視聴の習慣から、発達に及ぼす影響を調査したのです。
1日に4時間以上テレビを見ている子どもは言葉が出るのが遅い傾向がある
その結果、1日に4時間以上テレビを見ている子どもは言葉が出るのが遅いことがわかりました。
また、子どものためでなくても、子どもの近くでテレビが8時間以上ついている家庭の子どもも言語発達の遅い子が多かったのです。
さらに、テレビを見る時に親が関わらず子ども一人だけで4時間以上見ている子は、意味のある言葉を言えるようになる時期の遅れる比率がテレビをほとんど見ない子の2.7倍にも達したのです。
TVを見ていると言葉の発達が遅れてしまうとは驚きですね!
TVを消して一対一で遊ぶことの重要性
赤ちゃんにとって生後の1年間は、細かい音の違いを聞き分ける「聞く能力の準備期間」と、聞きたい音に集中し、聞きたくない音を無視する「聞かない能力」を育てる重要な時期です。また、親の声を聞いたり口の動き方を観察したりすることで「話す能力の準備」もおこなっています。
言葉の発達には、子どもの発した声への丁寧な反応が重要
これら言語能力の基盤となる最重要な能力の育成に必要なのは、子ども自身の出した声に対してかえってくる丁寧な反応です。
テレビはいつも一方通行ですので、テレビに会話を求めることはできません。このような「新しいタイプのことばの遅れ」の治療には、テレビを消して保護者が一対一で遊ぶことが大変効果的です。
「新しいタイプの言葉の遅れ」は早期発見が重要
ベビーパークに通ってくださる何万名ものお子さまの中にも、テレビやDVD、よかれと思って見せる教育番組・ビデオの教材などをやめて、お母さまがお子さまの反応に合わせてゆったりと遊んであげることで言葉の遅れが劇的に改善された実例がいくつもございます。
ですから「新しいタイプの言葉の遅れ」は早期発見こそが何よりの鍵になります。
2歳未満であればすぐに言語が追いつくが、3歳を超えると難しくなる
1歳までならばわずか1ヵ月程度で見違えるほど、両親の言葉に対する子どもの反応はよくなり、表情も豊かになります。2歳未満ならば、本来0歳代におこないたかった取り組みを積極的におこないますと、1年かからずに正常な言語発達に追いつきます。ところがこれが3歳を過ぎると微妙になってきます。
多少語彙が少ない程度でほとんど問題ないレベルまで言語発達が追いつく子どももいますが、中には何年もかかって言葉の遅れは取り戻しても青年時代にコミュニケーション障害が表面化してくる、という子どももいます。
言葉の発達以外の、早い時期からのTV視聴の弊害について
また、早い時期に二次元のテレビ画面を見ていると立体の認識が育ちにくくなることや、テレビやビデオの知識ばかりで実体験が乏しいと、聞き慣れない音に対して極端に敏感になったり、偏食や場所見知りが強かったり、特定のおもちゃに過剰な固執したりなども報告されています。
実は、2歳未満の子どもの頭に光トポグラフィという装置をつけて脳の血流量変化を調べたら、TVを見ている時に脳はほとんど活動していないという結果が出ています。言葉の発達が未熟な段階では、どのような教育的なDVDを見せてもほとんど価値はなく、むしろ害の方が多いといえます。
家庭でできるTVやDVDとの付き合い方
ここまでTVやDVDが招く深刻な言語発達の遅れについてお話しいたしましたので、次は家庭でできるTVやDVDとの付き合い方をご紹介いたします。
- 子どもがまだ2語文を離さないようでしたら、TVやDVDを見せるのはやめましょう。子どもがいる部屋ではTVをつけないように努力しましょう。
- すでに2語文が出ている子どもは、乳幼児のDVDならば15分程度見せてみてもよいでしょう。ただし、最初のうちは必ずお母さんも一緒に視聴して、短い言葉で場面の理解を助けてあげる声かけをしましょう。すでに5回以上くり返し見ているDVDは、時に一人で見せてもかまいません。
- 大人が見たい番組は録画しておき、子どもが眠っている時間に見るように心がけましょう。
- どうしてもTVをつけてしまう人の場合は、せめて食事中や授乳中だけはTVを消しましょう。
- 家事の間に子どもが泣くようならば泣かせておいてください。泣かせておいても愛情込めて声をかけながら家事をすれば心の傷などには絶対になりません。
「ゆうちゃん、ごめんね。今、お母さんは夕ご飯作っているの。玉ねぎ切って…今日は肉じゃがを作ります。頑張って急ぐから待っててね。泣いてもいいよ。お料理終わったら抱っこしようね~。」という感じです。
多少の大泣きは肺活量も育ってよい運動になりますし、自分の欲求がかなわないときのストレス処理の方法を学ぶ大切な機会にもなっています。
まとめ:できることから確実に環境を変えていくことが大切
何も永遠にTV断ちをしようと言っているのではありません。子どもの言葉がある程度まで発達するわずかな期間だけは、子どもが起きている期間にはTVをつけないようにしたいのです。もちろん人の生活環境は様々ですから、すぐには変えられないのが当たり前なのです。
一気にTVをやめるのではなく、小さな目標を一つ作ってみてそれが守れた時には大いにご自分を褒めてあげてください。そして確実に目標を達成し続けていきましょうね。
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