子どもの運動神経を高めるには一歩一歩丁寧に
身体能力において、両親が子どもに与えてあげるべき宝物は「優れた呼吸」「高度なバランス感覚」「脳と身体の協調能力」「関節と筋肉の柔軟性」です。
これら4つこそが、後の運動能力と健康を維持するための頑丈な土台となるのです。
もっとも大切なことは、確実に階段の踏み飛ばしのないように一歩一歩丁寧に上がっていくことです。そのことが適切に脳を育てます。「どれくらいの時間やればよいのか」といったご質問をされるお母さんがいらっしゃいますが、それは状況によって変わります。お母さんと子どもが楽しくてたまらない時間が「10分間」だったら、まさに「10分間」こそが最適なレッスン時間なのです。
一番重要なことは、お母さんだけが楽しむのではなく、子どもが楽しんでいるかどうか?であり、チャイルド・インフォメーション(お子さまの状態)に敏感になる必要があります。ここの判断が適切でないと、子どもを飽きさせ、運動プログラムの場合は時に怪我につながってしまいます。
『ちょっと頑張ればできそう』なことから少しずつ。運動をする時間を楽しむことがとっても大事なんです♪
乳幼児期から始めたい運動プログラム
て、今回は特に「手の機能」と「呼吸能力」を格段に高めるモンキーバー・プログラムを中心にご紹介します。
1.「把握反射」を発達させる
乳幼児の赤ちゃんは「把握反射を活用させる」ことが非常に重要です。把握反射を使う頻度が高いほど、子どもの月齢に関係なく優秀な脳の回路の完成が早まります。
ベビーベッドやハイ&ローチェアでおとなしく寝かされ続けたお子さんはそのような機会に恵まれにくいですが、ひんぱんに抱っこされ可愛がってもらった赤ちゃんは「把握反射を使う偶然」が多くなります。例えば「お母さんの髪を引っ張る」などというのもよい例ですね。両親の髪や服を引っ張るというのは、実は非常に良い手指の発達を促すレッスンになっているのです。
このように把握反射を活用する機会を増やすほど、自らの意思で手を握ったり離したりする能力の獲得が早まります。
2.お母さんの指にぶら下がる
お母さんやお父さんの指にぶら下がることは、脳における手の機能の経路を発達させると同時に、胸郭(きょうかく)を発達させ酸素が脳や全身の筋肉により多く送られるような身体全体の機能強化につながります。
最近の現代人が過去に比べて様々な身体疾患や痛みに悩まされるのは、胸郭が未発達で酸素を十分に体内に取り入れることができないからなのです。
小さい頃からぶらさがり運動で胸郭を十分に発達させてもらった子は、そのような体の痛みに悩まされる辛さとは無縁の人生を送れることでしょう。
こちらのプログラムは、コラムNo.85「子どもの運動神経を飛躍的に伸ばすことと脳の発達について」でご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
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3.スイング運動
子どもが自力でのぶら下がりが上手になってきたら、少しスイングを加えましょう。
方法:
低い高さで落ちないように子どもがぶら下がっている手をお母さんの手で軽くガードし、子どもをブランコのように前後に軽く揺らしてあげましょう。あるいは室内用の鉄棒にぶら下がらせて、お尻を軽く押して前後に揺らしてあげるのもいいですね。
時間:
1回20秒ほどです。
これだけぶらさがっていられるようになる頃には「高ばいでのハイハイ」や「指先で小さいものをつまむ能力」も十分にできるだけの脳回路が育っているのです。
0歳7ヶ月から1歳0ヶ月の間に出来るようになるのが一般的ですが、ベビーパークに早い時期から通っていただければ、0歳3ヶ月~0歳6ヶ月の間でできるようになることもあります。
4. モンキーバー(うんてい)
ここから先は「1~2歳児の体格に合った室内用うんてい」が家庭内にない限り挑戦できません。ですので、ぶらさがり運動は公園のうんていで継続していただき、3歳ごろまでにおこないたい運動をご紹介します。
方法:
子どもの右手と右足を持ってぶら下げ、お母さんがクルクル回って回転運動の刺激を与えます。(同様に左手と左足も)ご両親で両手と両足を持ってぶら下げ揺らしたり、高い高いしながらお子さまを軽く宙に放り上げてキャッチしてあげます。
時間:
1回15秒以内で1日2回できれば理想的です。
これは、次の段階からスタートする能動的バランスプログラムの準備を十分整えるためのものなのです。
5. 直立二足歩行
子どもが自力で親の指やうんていにぶらさがってスイングすることができれば、もう十分に二足歩行できるだけのバランス能力は育っています。
子どもが日常的に過ごしている場所を、歩く練習に適した空間に改良しましょう。床はやわらかいけれど、弾力のあまり無い安定したものが望ましいです。
また、子どもが立ち上がって歩いてみようとしている時に、手押し車を与えたり、手をつないだりしてはいけません。余計なサポートは独力で歩くときに必要なバランスの取り方を脳が学習する機会を妨げます。
方法:
子どもが過ごす部屋に、つかまり立ちに適した低くて安定の良い家具を置き、その家具と家具の間を子どもにとって、なにも捕まらず1歩歩けば届くくらい離して置きます。つまり、なにも捕まらず1歩歩いたら次に捕まる、つかまり立ちができる環境を作ります。また、家具がなくても、両親が向かい合って、子どもにお父さんとお母さんの間を歩くようなゲームも適しています。何歩か歩けるようになったら、くり返すことが一番大切です。
時間:
毎日20~30回は歩く機会を与えましょう。
1回に1・2歩歩くだけで十分です。歩いたら、愛情を込めて抱きしめキスしてあげましょう。上手に歩けるようになるにしたがって、1日中ほとんど立って過ごせるようになります。
目標:
子どもが途中で止まることなく10メートル歩けることです。そして一日に合計200メートルを歩けるようになることを目指しましょう。
まとめ:子どもの運動能力は過去の経験量によって決定される
今回ご紹介したお話の中から、子どもに合ったプログラムを発見してみてください。すでにおわかりのことと思いますが、子どもの運動能力は過去の経験量によって決定されます。月齢とは関係なくどんな経験をさせてあげられたかでバラバラです。
選んだプログラムを、可能な限り毎日実践してください。このような基礎運動を日常的なものとしておこなう事で、運動能力をしっかり身につけてしまう必要があります。ご家庭の事情に合わせて、自在にカスタマイズしてくださいね。
次のコラムNo.133「子どもの運動神経を飛躍的に伸ばすには?~実践編②:走る能力の発達について~」では、歩くことができるようになった子どもがさらに運動神経を発達させるために、おもに「走ること」についての能力の育て方について解説しています。もしよかったらあわせて読んでみてくださいね。
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