イヤイヤ期は精神的発達のあらわれ
第一次反抗期つまりイヤイヤ期は、それまで完全にお母さんに依存・共生していた関係から自立しようとする精神的発達のあらわれです。「親に言われた通りにではなく、自分自身のやりたいようにやりたい」という意識が強くなった結果です。
親からみればこれまで素直だったわが子が、急に素直じゃなくなった、という印象に見えるかもしれません。そして厳しく叱りつけて親の言うことを聞かせようとしてしまう方もいるかもしれません。
しかし、幼児期にしっかりと自己主張をする経験が欠如してしまうと、11歳から18歳ごろにかけて自分の意志の弱さや主体的に関わろうとする気持ちの弱さ、意見の違う相手とコミュニケーションをとろうとする気持ちの薄さなど、様々な思春期のトラブルで苦しみやすくなるのではないかと言われています。
ですから、イヤイヤ期の子どもの心理を正しく理解し、叱って押さえつけるのではない上手な対処を身につけて、イヤイヤの時期を乗り切りましょう。
「今、やろうと思ったのに~!」という反抗期の言葉の特徴
第一次反抗期から先の子ども時代、子どもの複雑な心情を理解するのに一番わかりやすいのが、この「今、やろうと思ったのに」というセリフにまつわるケースではないでしょうか。
イヤイヤ期から第二次反抗期までよく聞く決まり文句
2歳児ではまださほど出ることはないのですが、3歳を過ぎてから時には15歳以上になっても、このセリフは子どもの口から飛び出すことが多い決まり文句です。
一番多いのは「部屋の掃除や片付け」「学校やお稽古事の宿題」など、子どもにとって少し大変だけれど「やらなければならないこと」が控えている時です。ありがちなケースとして、お母さんが「部屋を片付けなさいよ」というと、子どもが「今、やろうと思ったのに~!」と大きな声で怒ったように言うパターンです。
当然のようにお母さんの次の言葉は「やろうと思ったのならやればいいじゃない」になります。しかし、この後子どもは不機嫌になってまったく片付けに取りかかろうとしない…。
大きい子どもがいる方は「ああ!あるある!」と思ったのではないでしょうか。もし、まだ2歳以下の子どものみでこのようなシチュエーションの経験がない方は、自分が子どもだった頃お母さんとのやり取りにこういったシーンがなかったか思い出してみると、子どもの立場をすんなり理解できます。
お母さんサイドの気持ち
お母さんサイドの気持ちの流れを言葉にしてみると、まずは子どもがなかなかやらないから促してあげようと思って「やりなさいよ」と言います。そして子どもが『今やろうとしていた』というならば「じゃあ、やればいいじゃない」と思うわけです。お母さんとしては、やろうとしていたのならば、今すぐ実行するのに何の問題もないと感じているし、どうして子どもが不機嫌になるのかわかりません。
子どもサイドの気持ち
しかし、子どもサイドで起こっている心理ドラマはこんなに単純ではないのです。子どもは部屋の片づけをしなければならないことはわかっているし、日常的にお母さんから「やりなさい」と言われ続けているので、いつも「今日こそは言われる前に自分からやろう」という気持ちも持っています。
ただ、実際におこなうのはやっぱり面倒くさい。しかし、そのやりたくない心と戦うために自分で一生懸命あれこれ考えています。『このオモチャでここまで遊んだらやろう』とか、もっと大きい子ですと『時計が何時になったらやろう』とか、自分なりに心のテンションをあげて嫌な課題に立ち向かおうと努力している時があります。
ところが、ここでお母さんが一言「片付けをやりなさい」と言ってしまったならば、この後それを実行しても、それはすでに「お母さんに言われたこと」になってしまっていて自ら頑張ったことにはならない、というのが子どもの感覚なのです。
つまり、これまで何十分か頑張って自分の気持ちを奮い立たせていた努力が、お母さんの一言で台無しにされた、という感覚です。その時に出る言葉が「今、やろうと思ってたのに~!」なのです。
反抗期を生かして、自分の意志で行動する練習をさせる
大人同士の関係であれば、もしこんなことを会社の部下が言えば「何を馬鹿なことを言ってるんだ!」と叱って当然かもしれませんが、相手は成長途上の子どもです。子どもの場合、「苦手なことや嫌なことに自ら立ち向かう力」を育てるというのは、親や教師の最重要課題の一つです。
この問題は現代の若者の「生きる力が弱い」と言われる部分の一つでもあります。そのために反抗期は「自分の意志でやりたい」という気持ちが溢れかえっている大チャンスの時期です。イヤイヤ期のトラブルは、見方を変えれば「自分の意志で行動する」という練習にすり替えることが可能なのです。
子どもの心理の三手先を行こう
このようにまったく理不尽な子ども心理なのですが、同時に子どもらしい可愛らしさもたくさん潜んでいます。
例えば、先ほどの「片付け」の例でも「言葉」にされてしまうと激しく嫌がりますが、それ以外の方法だと意外とすんなり受け入れてくれる場合も多いものです。
「片付けをしなさい」とハッキリ言葉にされると、「親に言われた」という事実に取り返しがつかない、逃げ場がないという感じなのですが、ここをもっとソフトに「遊ぶのはいいけれど、何か、その前にやっておくことがあったら先にしなさいね」という感じのトークはOKなのです。この場合、「片付けをしなさい」とは言っていないからです。
この「今、やろうと思ったのに」の話は小中学生に多いケースですが、反抗期の子ども心理の中でもベーシックなものなので、このケースを小さい子のイヤイヤ期対策として縮小させて考えることができます。
つまり、この話をごく単純にすると、要は「やりたいのに上手くできない」というだけのことです。大きくなると「やりたくても苦手なことには、精神面で負けて取りかかろうとできない」というケースが増えますが、2歳児の頃はもっとシンプルに技術的にできないというのがほとんどです。
子どもの心理を先読みしイヤイヤの流れを変えてあげる
そして、反抗期の子ども心理の流れとしては、次の4つがキーワードになります。
「自分でやりたい」
「親に言われると『自分で』にならない」
「やりたいのにうまくできないと怒りの感情が生じる」
「怒りを抑えきれないとかんしゃくになる」
したがって、親は子どもの心理を先読みし、この4つのキーワードのどこかの時点で流れを変えてあげれば、激しいイヤイヤを防げるわけです。
子どもの心理を一番わかってあげられるのは両親
子どもは今、どんなことを「自分で」やりたがっているでしょうか? もちろん「何でも自分でやりたい」様子かもしれませんが、細かく見るとひとりひとり「今は、これを自分でやりたがっている」というものが常にいくつかあり、それが数週間や数か月という短い期間でどんどん移り変わっていくのです。
これを誰よりも一番わかってあげられるのは、世界中でお母さん、お父さんしかいないのです。乳幼児期は親に優る教師はいない、という理由の一つがこれです。
イヤイヤ期によくある子どもの行動例と対処法
それでは次に、子どもが自分でやりたい行動のよくある例を記載いたします。
1.食事中、一人で食べたがる
この時期、大人のように「自分一人で食べたい」と思っている子どもは多いです。しかし、箸やスプーンの操作技術がともなわないので派手に食べこぼしたり、うまく食べられなくて癇癪を起こしたり、少量で食べるのをやめてしまうというトラブルが見られます。
こういう時期には「食事を箸やスプーンで食べやすい形状にしておく」のが良いでしょう。ご飯をあらかじめ小さい団子型にして茶碗に入れておくというのもアイデアです。一口で食べられるおかずにソース類を必要な量だけ上手につけておけば、ベタベタにする心配もありません。
おでんなどはつゆは入れずに、おでんだねだけを小さく切って与えます。最初から汚れにくい、食べやすい形状にしておくだけで食事中の「自分でトラブル」はかなり減らせます。
また、この時期は、食事の量を少なめにして早く食べ終わるようにするのも一手です。不足は間食をおにぎりやふかしイモなどにして補えばいいのです。野菜入りのパンケーキなども良いでしょう。さらに、大人と同じ食事を要求する場合は、食事の形状を変えても食器を同じにしたり、おかずの色合いを同じにするだけでなんとなく納得してくれることもありますので工夫してみましょう。
2.一人で着替えをしたがる
この時期には衣類を極力シンプルなものにしてあげて下さい。おしゃれよりもお子様の着替え技術UPと達成感満足感の充実が優先です。それにシンプルで可愛い服を探すのも楽しいものです。買い物に出るのが難しい時期ならばネットショッピングも一つの方法です。
トップスはTシャツやトレーナーなど伸縮性があるかぶり式でボタンがないもの。ズボンやスカートはスルッと入る脱ぎ着しやすい生地素材のもの。靴はベルクロかスリッポンタイプ。パジャマは、もしとても大きなボタンを使っているものが見つかればボタンの練習になってよいでしょう。
着替えている途中、子ども単独だと引っかかりやすいところがあるものです。服を頭からかぶったら袖の位置がわからなくなってもがいている、とか、ズボンを履こうとしているのに足の先が出てこない、靴のかかとがうまく入らないなど、こういう状況は事前に想定ができます。
ですから子どもが一人で着替えると言った時に、お母さんはそしらぬふりをしながら見守っていてください。そして子どもが引っかかりそうな時には、何も言わず袖を伸ばして手の位置に誘導してあげたり、さりげなくズボンを引っ張ってあげたり、つぶれた靴のかかとを伸ばしてあげたりしてください。
この時に絶対に声を出さないようにし、なるべくお手伝いしたと子どもに気づかせないように、子どもが手伝われたと感じるような肌の感触も最小限になるようにおこなってください。お母さんの影の手助けが成功すれば子どもはイラ立ちませんから、すかさず「上手!一人で着替えられたね!すごいね~」と褒めちぎってしまって下さい。
なんとなく手伝われたと感じて微妙な気分の子どもも、先手を打って「一人でできたね」と褒められてしまえば、その気になりやすいものです。反対に、子どもが「一人でできたよ」と自慢しているのに対して「お母さんが手伝ったからでしょ」などと口を挟んでしまうのは厳禁です。
また、「玄関の靴を揃える」「脱いだ服をたたむ」などは毎回魔法の呪文のように口にして習慣化させていきましょう。叱る必要はありません。3歳までにできていた習慣が、幼稚園や学校での生活でキレイサッパリ消えてしまうこともよくあることなので、身に付くまでは何年間でも習慣づけを続けましょう。
まとめ:イヤイヤ期は「自分の意志で行動する」事を教えるチャンス
いかがでしたでしょうか?
イヤイヤ期は2歳から子どもによっては4~5歳まで続く大変なことのイメージが強いですが、見方を変えれば子どもが自立していくためのに必要な過程といえます。
親としてはただ大変だとネガティブにとらえず、子どもの成長を促せると考えてポジティブに対応するほうが、自身にとってもより育児が楽に感じられる秘訣になるかもしれませんね。
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