習い事を始めるべき時期は4歳ごろが適切
まずは、いわゆる「習い事」を始めるべき時期はいつが適切なのか見ていきましょう。
(このコラムにおける「習い事」とは、ピアノやバレエなど特定の種目や競技を習うお稽古事のことです)
音楽や運動系の習い事は身体機能の発達が不可欠なため、4歳ごろに始めるのが適切と考えられています。
3歳以前は何をするべきか?
では、3歳まではどんなことをして過ごすとよいのでしょうか。それは、将来の習い事計画を立て、ご両親もその分野への知識を増やし、口コミ情報などを集めて良い先生を探しておくことです。
例えば、いずれバレエを習わせたいと思うならば、0歳の頃からチャイコフスキーやラヴェルなどのメジャーなバレエ曲を聴かせておいたり、バレエをモチーフにした絵本やオモチャを与えてみたりと、子どもに意識づける取り組みができます。
幼児期の習い事は「親が決めるべき」
さて、子どもの習い事を考える時、多くの両親が抱える悩みが「子どもの意志を尊重すべきか」「親が決めるべきか」ということです。結論から先にお伝えしますと「幼児期の習い事は親が決めるべき」と考えています。
幼児期は大切な事は親が決め、10歳前後の時期は親子で納得いくまで話し合うようにし、15歳頃にはほとんどの事を子どもが自分の意思で決断できるように育てます。
子どもに自分から習い事をしたいように仕向ける
ここで、「子どもが自ら希望していなければやる気を持続させるのは難しいのでは?」と疑問を持つ方もいると思います。しかし本当にプロの教育者ならば、子どもに自分から希望させるよう仕向ける事は難しい事ではないのです。
「子どもが自分から習いたいと言い出すまで待つ」という人もいますが、まだ人生をわずか数年しか経験していない子どもたちが、自分から「習いたい!」と言い出す理由は非常に単純なものであることが多いのです。
「好きなTVキャラクターがバイオリンを弾いていた」「お友だちがサッカーを始めた」「英語でアップルと言ったら褒められた」など、ごくごく簡単なきっかけです。
大人のような深い思考力はまだ備わっておらず、「毎日お稽古」「1時間椅子に座り続ける」「寒くても外で運動する」なんていう大変さをリアルにイメージする事は不可能といえます。「おやつにプリンが食べたい!」と言うことと同じように「英語が習いたい!」と言います。
ごくわずかな経験の範囲内で発する幼児期の子どもの言葉を、そのまま鵜呑みにすることは避けたほうがよいと考えます。ですから現在のお子さまにとって本当に有益な習い事を見極めて設定し、子どもが自分から「習いたい!」と言い出すように誘導することが親の役割なのです。
幼児期に重視するべき習い事は「語学」「音楽」「知能教育」「体育」
親は送迎可能な時間や家計費と相談して「その年齢で最も伸ばしてあげたい能力は何か」を考えます。「一生を左右する知能の器」である脳の機能を育てる教育は最重要として、幼児期に特に重視したいのは「語学」「音楽」「知能教育」「体育」の4ジャンルが挙げられます。
「語学」「音楽」は早いうちに「聞き分けられる耳」を養う必要がある
親は送迎可能な時間や家計費と相談して「その年齢で最も伸ばしてあげたい能力は何か」を考えます。「一生を左右する知能の器」である脳の機能を育てる教育は最重要として、幼児期に特に重視したいのは「語学」「音楽」「知能教育」「体育」の4ジャンルが挙げられます。
「語学」「音楽」は早いうちに「聞き分けられる耳」を養う必要がある
「言葉」の基礎を聞き分けるシナプスの発達は3歳頃までにほとんどが終了します。
「絶対音感」は5~6歳までに良質な教育を与えれば獲得できます。音楽的な表現力は、優れた指導者がいれば9歳ごろまでに始めればよいでしょう。10歳を過ぎてから習い始めた場合、将来一流のプロフェッショナルとして成功できる可能性の扉は、両親が非常に音楽に堪能である環境を除いて、教育熱の高い現在では恐ろしく狭き門と言わねばなりません。
音楽や語学は早いうちに「聞き分けられる耳とセンス」を養うことが非常に重要といえます。
ですから「子どもがいつか『楽器をやりたい』と言い出した時に自由な選択ができる芽を残しておいてあげたい」と思うならば、幼児期に何か音楽系の習い事をさせるのも良いでしょう。
楽器の選択は子どもにまかせて良いかもしれません。ただし、それぞれの楽器にも開始するのに適切な発達時期というものがあります。ピアノは、体の大きな子どもで4歳ごろ、平均的には5歳ごろが適切でしょう。
バイオリンは分数楽器と呼ばれる小さなサイズもあるため3歳からでも可能です。また、決まったキーを叩くと決まった音が出るタイプの楽器よりも、自分で音を作り出す弦楽器に習熟できると耳がよく育つため、後々他の楽器の習得も容易になるといわれています。つまりバイオリンが弾ける人は、ピアノやドラムを後から練習しても習得が早いということになります。
どの楽器でもある程度のレベルまで習得できたならば、いずれ中学生くらいになって「ギターをやりたい」「プロの作曲家やミュージシャンを目指したい」と思った時に、将来一流の音楽活動を志せるだけの「素養の芽」は十分残っています。
芸術的分野は長い期間習えるように選ぶことが大切
楽器や絵画など芸術的な分野は、ただ漠然と習うよりも、「10年間は師事できる師匠一人を探す」ことが大切です。何事も一定レベルまで育っていない事柄は、稽古を怠るようになればすぐに忘れてしまいます。
小学生頃になると「英語」「水泳」「ピアノ」「バレエ」など、なんとなく良かれと思って漠然と習わせている家庭も非常に多いものです。そして「3年も習わせたのに結局何も身に付かなかった」と嘆く両親も少なくありません。習わせる前に「どこまでの習得をゴールとしたいのか」をイメージしておく事が肝心です。
「体育」系の習い事は、まずは「礼儀」「コミュニケーション」から
対して、サッカーや水泳などスポーツ関連は、まずは技術的な厳しさよりも、礼儀やコミュニケーションを重んじる教室からスタートし、子どもの能力発達や興味の方向性次第で、高い技術を習得できる教室にステップアップしていくのもよい方法でしょう。
運動系の習い事を通して身につく力は、「持久力」「基礎筋力」「器械体操のテクニック」「身を守る武術」「礼儀作法」「精神修養」など多岐に渡ります。親に何らかの意図があるならばそれに基づいて選ぶのが良いですが、特になければ親の願いは「運動系の能力を伸ばす」というレベルまでに留めて、何を習うかは子どもに選ばせても良いでしょう。
「体育」系の習い事を始めるのは4歳ごろが適切
しかし、始める時期は早ければ早いほど良いというわけではありません。ごく一般的な運動系の習い事でしたら4歳ごろの開始が適切と考えられています。それ以前に始めても「お遊び」の域を出られず、費用と効果の兼ね合いが見合わない場合も多くあります。
2~3歳ごろの運動系の習い事では、「身体機能を伸ばす」というより「集団行動や礼儀などの社会性」を伸ばす目的を主眼にするとその価値は上がると考えます。4歳ごろまでは「長距離をたくさん走ることのできる能力」を育ててあげることが重要で、習い事よりも毎日の外遊びを充実させる方が効果的のように感じます。
もし、両親の力だけでは「たくさん走らせること」がなかなか難しく、2歳ごろから運動系の習い事を始めるならばサッカーなどがよいでしょう。一般的な価格のバレエ教室や体操教室などへ2歳ごろから週1回通うならば、4歳ごろから始めてもさほど違いはないといえます。
「水泳」は口呼吸を助長するため、早めに始めないほうがよい
また、水泳もあまり早い時期に開始する必要はないと考えます。なぜなら、「口呼吸」が身に付いてしまいやすいためです。
哺乳動物は本来「鼻呼吸」をする生き物であり、人間以外に口で呼吸できる動物はいません。人間が口でも呼吸できるようになったのは、言葉を話すための機能が向上したことが要因であり、呼吸機能がそのように進化したのではないとされています。
その証拠に、0歳代の赤ちゃんはおっぱいを飲み続けながら鼻で呼吸をします。この頃、赤ちゃんの咽頭はサルに似た構造になっており、口で呼吸することはほとんどできないのです。
簡単に鼻呼吸と口呼吸の違いを整理します。
◆「鼻呼吸」
- 人間が吸い込む空気には様々な病原菌が含まれていますが、鼻は鼻毛などのエアフィルターの仕組みができています。病原菌の50~80%は鼻の粘膜に吸着されて処理されます。
- 冷たく乾いた空気でも鼻腔で暖められ、湿度を含んだ状態で喉まで到達します。加湿が不十分だと肺胞の粘膜になじみにくく酸素がスムーズに吸収されません。
- 吐く息も、鼻腔を通ることで適度に乾燥させ、カゼのウイルスなどの病原菌の繁殖を抑える効果を発揮します。
◆「口呼吸」
- 口から吸引した空気がそのまま喉まで届き、喉の粘膜が様々な病原菌に無防備におかされることになります。そしてそれらは白血球によって全身に運ばれてしまいます。
- 喉には温度や湿度の調節機能がないため、ほぼ吸い込んだ時と同じ状態の空気が喉を直撃し、乾かしたり冷やしたりしてリンパ組織に損傷を与えます。
- 空気が鼻腔を通らないと汚れがたまり、常にじめじめした状態になるので鼻腔や副鼻腔に細菌やウイルスが増殖しやすくなります。
このように、鼻呼吸では免疫力が向上し、またからだに十分な酸素が吸収されるので脳が活性化され、筋肉もよく発達するようになりますが、口呼吸では免疫力の低下を招き、万病の元となりやすいと言われています。物心のつく前の水泳教室は、泳ぎながら鼻呼吸はできないため、どうしても口呼吸の習慣が身に付きやすくなるのです。
「普段は鼻で呼吸をする」という言葉を理解し、意識的に実行できる頃というと、これもまた4歳ごろが妥当ではないでしょうか。その頃までは、お風呂で楽しく遊ぶ時間を意図的に設定し、顔に水がかかっても平気なように水慣れしておくなどの工夫をするのが良いでしょう。
子どもに自分から習い事をしたいように仕向ける方法
さて、両親の教育方針が明快になり、「習わせたいもの」さえ決まれば、次は「仕掛け」です。そのお稽古の場面が出てくるようなTVやDVDを見せたり、お友だちが習っているところを見学したり、家でその習い事のごっこ遊びをしてみて「上手だね~すごいね~!」と褒めてみたりします。
子どもに強く「これが大好き!習いたい!」と思い込ませることは極めて簡単です。難しいのは「継続」なのです。「親がわざとらしく無理矢理しつこく言っている」と感じさせてしまわないようにします。子どもは親の心を敏感に察知し、その習い事に逆に反感を抱いてしまいます。そして一度反感を持ってしまうと気持ちを変えるのは大変困難で、非常に高度な教育テクニックが必要となります。
ですから反感を感じさせぬよう、まるで何事も無いように非常にさりげなく数日間継続してすり込み、深く印象づけていく事が大切です。
子どもが習いたいと言い出してもしばらく待つ
さて、ついに子どもが「習いたい!」と言い出した時、すぐには承諾せず、「本当にやりたい?」などと何気なく話してみます。子どもでも大人でもダメと言われればもっとやりたくなるのは人の常で、強い否定はしないまま何日か置きます。
そして、その間も積極的にそのお稽古関係のDVD、演奏会や試合を見せ続けます。「本物」のすばらしさに触れ、子どもの心が「感動」に震え、「自分も本当にやりたい!」と強く感じた時、子どもの「やる気」を十分に膨らませた時こそが「習い時」です。そんな「感動的体験」を味わわせ、習得させたい技能との「素敵な出会い」を設定してあげることも親の大切な仕事だと考えます。
習うべき教室は先に決めておく
ここで一つ重要なことは「習うべき教室・指導者」は、子どもが本気で「習いたい!」と言い出す前に決めておく事です。せっかく子どもの「やる気」が高まっているのに、教室探しであちこち連れて歩いたり、あげくに先生が見つからなかったりではやる気が損なわれてしまう可能性もあります。事前に情報を収集し、候補は1~3箇所程度に絞りこんでおくとよいです。
まとめ:習い事を通じて「壁」を乗り越える経験を子どもに与えよう
どんな習い事でも真剣に取り組めばそのうち何回も「壁」にぶつかります。この壁を乗り越えられるかどうかが、人間の成長に大きく関わっていくのです。「自分の強い意志で習い始めたのだ」という記憶は、壁から逃げ出さず乗り越えようとする心の強さを養うためにも非常に重要なことなのです。
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