離乳食を急がないで!~離乳食の与え方でアレルギー体質が増えてしまう~

No.141更新日付:2024年11月14日

離乳食は生後5~6か月から始めるのが一般的といわれています。ベビーパークでの離乳食における考え方や基本的なレシピについては、コラムNo.66「上手な離乳食の与え方」でご説明いたしました。

こちらのコラムでは離乳食を実際にお子さまに与えていくにあたって、アレルギーなどの症状がでないように注意するべきこと、またそのために離乳食を焦る必要はない、ということをまとめています。

離乳食など子どもの食事に関する話題は、ぜひ家族でも色々話せるように、一度読んでみてくださいね。

近年、食品のアレルギーを持つ子どもが増えている

学校給食で、調理の段階から別に作る必要のある重度のアレルギーを持つ子どもは、20年前には約200~300人に1人の割合でした。ところが、現在は1クラスに2~3名いることも少なくありません。生物の身体的変化には何千年もかかるものですから、子どもたちの身体そのものが変化したわけではありません。外部的な要因があると考えられます。

その要因の一つとして、「離乳食や幼児食の全国画一化」が挙げられます。この30年間で育児専門雑誌が数多く出版され、またインターネットも非常に広く普及しました。このようなメディアの発達によって、代々受け継がれていた各地方や各家庭の伝統的な食文化が失われ、雑誌やネットに載っているオシャレで見た目のよい離乳食や幼児食が、「現代の常識」として全国的に広まりました。その常識が必ずしも正しくない可能性があるのです。

離乳食を急ぐことがアレルギーを作り出している可能性

今回は離乳食に関する重要な仮説を1つご紹介します。

「0歳の赤ちゃんにハチミツを与えてはいけない」という話はすでに育児の常識となっていますが、実はこれが「赤ちゃんの腸」について正しく研究がなされるようになった発端と言われています。

1976~1978年にかけてアメリカで、ハチミツに含まれる「ボツリヌス菌の芽胞」が原因で小さな赤ちゃんが突然亡くなるという事件があいついで起きました。

人間は小学生ごろになると、炭水化物やタンパク質といった大きい分子はそのままでは腸の壁を通り抜けて体内に入ることはできなくなります。ですから炭水化物はブドウ糖、タンパク質はアミノ酸に分解をすることで消化し体内に取り込まれます。その際、人間の腸が吸収できるサイズの100万倍ともいわれるボツリヌス芽胞のような大きな分子は、絶対に腸の壁を通り抜けることはできないのです。その結果排泄されますので何の問題もありません。

赤ちゃんの腸はタンパク質を体内に取り込み、抗体となってしまう

しかしこの事件による調査の結果、赤ちゃんの腸は大人の腸とはまったく異なり、このボツリヌス芽胞でさえもそのまま通り抜けてしまうということが初めて判明したのです。タンパク質も同様で、分解せずにそのまま体内へ取り込んでしまうと、すぐに免疫システムが働き、血液中の白血球は体外からやってきた異種タンパクを見つけると直ちに抗体を作り体内から排除しようとします。

予防接種では、病気の原因となるウイルスを弱くしたものを体内に取り込んで免疫を作ります。つまり、お子さまの腸がタンパク質をそのまま通してしまううちに離乳食として卵を与えるということは、「卵の予防接種」をしているようなものなのです。

ですから最初に食べた時には何ともなくても、卵に対する抗体が離乳食によってできてしまってからは、卵を食べるたびにアレルギー反応が出てしまうのです。現在の離乳食指導では、アレルギーも持たずに生まれた赤ちゃんへ、後天的にアレルギーを作り出している可能性が考えられるのです。

子どもの健康を守るために離乳食を急がない

以前は「卵・大豆・牛乳」が3大アレルゲンと言われていました。しかし現在では、大豆は10位前後に落ち、引き換えに「小麦・ソバ・ピーナッツ」が上位へ上がってきています。要因としては、アトピー性皮膚炎が登場し始めた頃、「卵・大豆・牛乳」が最もポピュラーなアレルギー食品だったため、親達が警戒して別の離乳食、つまり「小麦・ソバ・ピーナッツ」を与えたためと考えられています。

また、欧米圏では離乳食にマッシュバナナを与えることが一般的なため「バナナアレルギー」がとても有名です。

50~60代の山育ちの人に「やまいもアレルギー」が多いことも、50年前の山暮らしではとろろ芋を離乳食として与えていたことが要因と考えられます。最近は子ども向けのお寿司によく入っている、「いくら」「えび」「まぐろ」のアレルギーも急増しています。

タンパク質は母乳で摂取すれば大丈夫

では、赤ちゃんはどこからタンパク質を摂取すればよいのでしょうか。それは「母乳」です。1歳半まで水も与えることなく、母乳のみで育った子が、幼稚園に入るまで一度も病気をすることないほど健康に育ったという例は、たくさんあります。

つまり、オシャレで見た目のよい離乳食を与えなくとも、子どもは健康に育ち、栄養不足によって発達に支障が出るなんてことは考えにくいのです。

まとめ:離乳食は焦らないでも大丈夫、お子さまの反応を見ることが大切

最後に、もしも今母乳やミルクをお子さまに与えていらっしゃるならば、離乳食への移行を急ぐ必要はありません

世の中には黒と白では分けられないグレーゾーンの事柄が多くあります。わが子のために何を選ぶべきか、世間一般の育児常識だけに惑わされず、ご両親で慎重に判断していくことでお子さまの健康は守られるのです。医学もまだ分からないことがいろいろあります。誰かが仰っているからと鵜呑みにせずご両親の判断で行動されることをおすすめします。

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上手な離乳食の与え方

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