子ども(小児)の発達段階について
比べるものではないと分かっていても、「他の子どもよりうちの子は言葉が遅いかも……」と、自分の子どもの発達に不安を感じるもの。
そもそも、幼児・小児の時期は、発達段階には個人差があるため、一概に○歳で○○ができるとは言えません。しかし、発達段階を理解しておくと、家庭教育や習い事を始める時期や内容を決めるのに役立ちます。
まずは、幼児・小児の発達段階の基本と理解しておくメリットを紹介します。
発達段階がわかっていると今後の見通しが立つので、知っておくと育児の指標を立てるときなどに役に立つよ。
発達段階は一般的な成長の流れ
幼児の成長には個人差があり、子ども一人ひとりで発達のスピードは異なります。そのため、多くの子どもに共通して見られる成長の流れを発達段階と呼びます。
発達段階は、身体的・精神的な成長の段階です。それぞれの時期に特徴があり、目標が達成されることで子どもは成長していくのです。
それぞれの発達段階で必要な成長が行われるように、各家庭で子どもの生活環境を整える必要があります。
発達段階を理解するメリット
親が発達段階を理解するメリットは、次のとおりです。
●子どもの健全な成長を促す
●子どもとコミュニケーションを取りやすくなる
●発達段階に合った適切な教育を受けさせられる
それぞれのメリットを詳しく解説します。
◆子どもの健全な成長を促す
親が子どもの発達段階を理解していれば、その段階に合った環境を事前に整えて子どもの健全な成長を促せることがメリットです。
幼児の発達段階では、それぞれの時期の課題を達成して子どもは成長します。文部科学省によると、各発達段階で望ましい発達が起こらなかった場合、以降の子どもの成長に支障が出る可能性も示唆されています。[注1]
[注1]文部科学省「3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」 (参照 2021-10-20)
◆子どもとコミュニケーションを取りやすくなる
発達段階への理解は、子どもをよりよく理解することにつながります。
特に幼児期はイヤイヤ期もあり、コミュニケーションの取りづらい時期でもあります。発達段階を理解し子どもの成長を把握し、子どもとコミュニケーションを取りやすくなることがメリットです。
◆発達段階に合った適切な教育を受けさせられる
幼児教育を受けさせる場合、発達段階に合った教育を選択して受けさせることで、子どもの発達を促しやすくなります。適切な教育は子どもの成長を促します。
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エリクソンの発達段階とは
子どもの発育段階は、エリクソンの発達段階に則って説明がなされるケースも多くあります。
エリクソンの発達段階とは、発達心理学者のエリク・ホーンブルガー・エリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」です。心理社会的発達理論では、子どもの発達段階を8つに分類し、各段階の特徴・課題を示しています。
発達段階を理解する上で、エリクソンの発達段階は一般的な考え方です。
幼児の特徴を発達段階ごとに紹介
発達途中の幼児は青年期とは異なり、数カ月単位で身体も精神も大きく成長します。発達段階は年齢ごとに特徴があり、それぞれに課題が生じるため、年齢ごとの特徴を理解するのが重要です。
ここでは、発達心理学者のエリク・ホーンブルガー・エリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」を基に、幼児の発達段階を解説します。[注2]
[注2]看護roo!「エリクソンの漸成的発達理論」(参照 2021-10-20)
乳児期(~1歳未満)
エリクソンの発達段階では、出生から1歳未満の子どもを乳児期に分類します。
乳児期は、母親や母親的役割をする人の存在を認識し、安心感を覚える時期です。安心できる人から信頼感を得て、他人への基本的信頼感を学びます。
乳児期に母親や母親的役割をする人から愛情・安心を得られない場合、基本的不信感となって、精神機能の発達に支障が出る可能性もあります。
幼児前期(1~3歳)
エリクソンの発達段階において、1~3歳までの時期を幼児前期と定義します。
幼児前期は、自律性が芽生える時期です。言葉の発達が著しく、自分で歩いたり食事をしたりと身体をうまく使えるようになってきます。そのため、何でも自分でやりたがり、大人のマネをしたがる自律性が発達します。
また、自律性とともに恥や疑惑も育つ時期です。挑戦に失敗すると恥を感じて癇癪を起こすのも、幼児前期の子どもの特徴。一般にイヤイヤ期と呼ばれるのは、このためです。
幼児前期に挑戦する機会がなかったり、失敗を厳しく非難されたりすると、「自分は期待されていない」と疑惑を感じて自律性は健全に発達しません。
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幼児後期(3~6歳)
3~6歳は、エリクソンの発達段階で幼児後期にあたる時期です。
幼児前期に自律性が健全に発達すると、幼児後期で自発性が生まれます。自発性とは、自分で考えて行動に移すことです。幼児後期になると幼稚園や保育園に通うようになり、親から離れて社会性を身に付ける時期でもあります。
自発性を否定したり、厳しい叱責を受けたりすると子どもは罪悪感を抱いて、幼児後期に培われる発達が健全に行われない可能性があります。
ベビーパークで「叱らない育児」を推奨しているのも、「叱って躾けても子どもにネガティブな感情しか残らない」と考えるからなんだよ。
学童期(6~13歳)
エリクソンの発達段階では、6~13歳は学童期と呼ばれます。
家庭で過ごす時間が減り、学校や同年代の子どもたちと過ごす時間が多くなり、他者との関りから勤勉性が発達する時期です。学童期に大きな失敗を経験したり、厳しい叱責を受けたりすると劣等感を抱きやすくなります。
幼児における発達段階ごとの家庭教育の課題
文部科学省の見解では、乳幼児期での課題は以下のとおりです。
●愛着の形成(人に対する基本的信頼感の獲得)
●基本的な生活習慣の形成
●道徳性や社会性の芽生えとなる遊びなどを通じた子ども同士の体験活動の充実
文部科学省「3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」 (引用 2021-10-05)
エリクソンの発達段階に分けて、子どもの発達段階での課題を説明します。
乳児期の課題
出生~1歳未満の乳児期には、愛着の形成が課題です。
乳児期には、母親や母親的役割をする人から愛情や安心をもらうことで、基本的信頼感を獲得します。乳児期に子育てへの無関心や過保護、虐待などの問題があると、愛着が形成されずに以降の発達段階に支障をきたす恐れがあります。
基本的信頼感が養われない場合、情緒が不安定になったり問題行動を起こすようになったりするため、愛情や安心を与えることが大切です。
幼児前期の課題
1~3歳の幼児前期の課題は、意欲の促進です。
幼児前期は自律性が芽生えて意思が育つ時期のため、親の過保護や叱責が羞恥心となって意欲を減退させる原因につながります。親が何でもやってあげたり、失敗を過度に叱ったりするのは子どもの健全な発達に影響を及ぼします。
また幼児前期からは、大人のマネやごっこ遊びによって、基本的習慣を身に付ける時期です。やりたがる気持ちを抑制してしまうと、習慣を身に付ける機会を奪うことにもつながります。
幼児後期の課題
3~6歳の幼児後期は、道徳性や社会性を培うための体験活動の充実が課題です。
子ども同士の遊びや体験活動が減少すると、道徳性・社会性を身に付ける機会が失われてしまいます。体験活動を充実させることで、学校生活が始まる学童期への移行をスムーズに行えます。
【まとめ】子どもの発達段階を知り、段階に応じた成長を見守ろう
幼児の発達段階は、一般的な発達の流れを示したものです。各発達段階での課題をクリアすると、健全な成長が促されます。
エリクソンの発達段階によると、各発達段階には特徴があり、発達段階を理解すれば適切な教育を受けさせるときにも役立つでしょう。
例えば、乳児期は、安心できる人から信頼感を得て、他人への基本的信頼感を学ぶ年齢です。そのため、パパ・ママが十分に愛情を与え、安心できる環境を整えることが大切です。また、幼児前期からは自律性が芽生えるため、親が何でもやってあげるのは発達を阻害してしまいます。子どもがやりたいことを尊重し、過度な叱責を避けて自律性を伸ばすと良いでしょう。
今どの成長段階にいるかを認識し、その段階にあった接し方をすることで子どもの成長を見守りましょう。
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