6歳未満の子どもは「人間以外の不思議な生きものだ」と考え対応する
今回は「どうしてこんなことするの!」という言葉に集約できる、子どもの行動にイライラさせられる時の対応策を見つけていきましょう。
6歳未満の育児においてこの考え方は非常に重要なので、ベビーパークでのいろいろなテーマのマザーリングでも折にふれて何度もくり返しますが、どうか「6歳までの子どもは、まだ人間未満の存在だ」「人間以外の別の不思議な生きものだ」と考えてください。
もちろん比喩的な意味ではありますが、そう心得ていたほうが適切な育児の核心に近づきやすいのです。
具体的なシーンをイメージしていきましょう。
泣きやまない。引き出しの中身を出してかたづけない。周囲の物を投げる。部屋中を走り回る。指をしゃぶる。人を叩く。保育園に行きたがらない。抱っこばかりせがむ。2歳前後でもおっぱいをひんぱんに欲しがる…。
このようなことは、大人の常識に当てはめればすべて「困った行動」です。そのため、お母さんたちは「どうしてこういうことをするの!」と困り、それをやめさせる方法を一生懸命考え、悩みます。
子どもの行動を「やめさせる方法」は考えない
しかし、子どもの行動をやめさせたい時には「やめさせる方法」を考えようとしてはいけないのです。
小さい子どもは決して「相手を困らせよう」などとは考えたりしません。そして子どもの行動には必ず何か「目的」や「原因」があります。ですからやめさせる方法を探すのではなく、「この行動の目的はなんだろう?」「この行動の原因はなんだろう?」と純粋に考えることが一番大切です。
子どもの行動を叱りつけてやめさせようとすることは、例えばお腹が痛い時にその原因を取りのぞくことをせずに痛み止めだけ飲ませてごまかすのと同じことなのです。根本的な解決にはなっていませんので薬が切れたら何度でもくり返します。
小さい子どもは、自分の行動によって他人が困るということをほとんど理解できません。
2歳くらいの子ならば理解できているように見えるかもしれませんが、それはまったく大人のように論理的にわかっているわけではありません。
子どもの行動の原因や目的を考え、子どもの行動を分類してみる
子どもの行動を「困る」と感じた時には、なぜこの子がそういう行動をしているのか原因や目的を真剣に考えてみてください。そしてまず、その行動が子どもにとって「楽しそうであるか」それとも「不愉快を訴えるものであるか」のどちらかに分類してみてください。
楽しそうであれば、その行動は子どもの能力を伸ばすために必要なことであり、何らかの能力を大きく育てています。ですから、子どもがその行動をしても周囲を困らせない環境を親が作ってあげるのが最良です。
不愉快そうであれば、それは一生懸命何かを訴えています。何を訴えているのか子どもの心の声を聞き取れるように心を傾けてあげましょう。
楽しそうな時も、不愉快そうな時も、常に子どものことを「まだ見たことのない不思議な生きもの」だと考えてください。
「大人」の思いこみや先入観を捨てて、子どもの様子を見る
大人の常識や思いこみによる先入観を捨てるようにしてください。
楽しそうな時、子どもの行動のほとんどは「本能を満たすための行動」です。そのほとんどが「探求反射」か「模倣反射」か「身体発達を促進する行動」です。例えば、周囲のものを手当たり次第に口に入れてヨダレをたらしているときにも、「お腹がすいたのね」などとは絶対に決めつけないようにします。
私たちとは違う生き物なのです。
そう考えれば「ああ、周りのものを調べているのね」とわかりますね。口に入れて調べているのです。ですから、何でも口に入れる行動が見られる時期は、次から次へと新しい様々な品物と出会わせてあげることが、知能発達を促進します。
もちろん、ただ与えるだけよりも親御さんがそばでものと言葉を結びつけたり、物の使い方を見せてあげる方が子どもの経験はさらに深まります。
やがて、子どもの概念と獲得済みの言葉に「食べ物」というカテゴリーが明快に意識された時、子どもはもう食べ物以外はほとんど口に入れなくなります。大体1歳3ヶ月ごろが目安でしょうか。
子どもが物を投げる時は「投げる」という身体機能がグングン発達している証拠です。ですから、この時期こそ「投げる」という動作を積極的に経験させてあげる適期なのです。逆に投げることを叱ることは「投げる」という動きの楽しみを子どもの人生から奪うことになりかねません。
やってはダメなことは、「行動による習慣づけ」で教える
しかし、投げてよいもの・悪いもののしつけはしっかり与えたいですよね。この時期は言い聞かせるという方法は得策ではありません。
「行動による習慣づけ」がすべてなのです。
ですから、投げてよいものを常にお子さまの周辺に置いておきましょう。柔らかいボール、お手玉、柔らかい材質でできたフリスビーなど、ほかにもいろいろ考えられますね。
そして、ここがベビーパークの「叱らない育児」のポイントになるのですが、投げてはいけないものについては、子どもにそれを投げるという経験をさせないことが重要です。そのためには、子どもがものを投げようとする時期お母さんができる限り子どもの近くにいて、投げてはいけないものを投げようとした時に優しくガードして投げさせないことです。怖い顔ではなく、満面の笑顔でおこなってあげてください。
子どもの動きをよく見ていれば、投げるかどうか?は簡単に見抜くことができます。お母さんがそれを静止できるタイミングで止めるのです。ギリギリまで待っても止められる人は、本当に投げるギリギリで止めれば大丈夫です。そこまでギリギリは無理…という人は、子どもの腕が投げるモーションを起こした段階で腕の動きを止めてあげればよいです。
それも難しいという人は、子どもが投げたら困る何かを手にした時点で、優しく取りあげる方法を使いましょう。無理やり奪うのではなく、抵抗を感じさせないように一瞬でスムーズに取りあげるテクニックを習得しましょう。
もしも家庭の事情が許すならば、「子どもの手の届く位置に小物が一切ない部屋」を一部屋作れたら理想的です。大型家具はあっても構いませんが、子どもが片手で持ち上げられるような小さいものを一切置かない部屋を作るのです。
お母さんが子どもにピッタリついてあげられない時には、この部屋に安全なものだけ持ちこんで自由にさせておけばよいのです。
疲れた時にはこの部屋で子どもを自由にさせて、お母さんは同じ部屋のドアの前で横になって子どもが出られないように封じこんでしまえばよいでしょう。
子どもは全力で親にメッセージを送っている
泣いている時、ぐずっている時、叱る理由はどこにもありません。
子どもは全力であなたにメッセージを送っているのです。言葉でうまく表現できない気持ちを一生懸命伝えてコミュニケーションを図ろうとしているかわいい子を、どうして叱る必要があるでしょうか。
子どもの様子をたくさん観察することでメッセージが見えてくる
不快の感情を表に表さず心に溜めこむような悪習慣をつけるほうが、よっぽど子どもの将来によくないのです。子どものメッセージを正確に受け取れる技術を日々磨いていきましょう。そのためには、子どもの様子を少しでも多く観察していることです。そして子どもと同じ経験を共有することです。
子どもの感覚が理解できないのは、人生の経験量の違いによるもの
最初に子どもを「人間以外の不思議な生物」と思ってほしい、とお伝えしました。それは子どもの感覚が大人の感覚とは大きく違うからです。しかし、結局は大人も子どもも「自分がそれまで経験した範囲内」で新しい出来事を処理しようとするから、その経験量の違いが感覚の違いとなるだけなのです。
子どもの様子を観察していれば、子どもの行動の目的や原因は、数十時間以内に経験していることの中から推測できることがわかってきます。大人の常識を捨てて、子どもが短期間のうちに経験したことのみを材料に考えてみると、案外すぐに子どもの気持ちが理解できます。
まとめ:子どもの様子をたくさん観察することで、子どもの気持ちが見えてくる
正しい育児のヒントは、育児書ではなくすべて我が子の中に隠されています。基本的には子どもが笑顔で喜んでいる時、その事柄は正解です。子どもが不快を示している時、それは望ましくない事柄です。
子どもが快感や喜びを表していることはできる限り与えてあげられる工夫をし、不快を示していることは取りのぞいてやるようにします。この感覚を十分に身につけると、日常生活において我が子に腹が立つ出来事の数は相当数減ることになるでしょう。
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