生体リズムから考えた一日の健康的な生活習慣
コラムNo.80「寝ない子どもへの対処法は? 体内時計を整える「光」の使い方について」
では、生体リズムや体内時計の概念から、効果的な子どもの睡眠時間のコントロールの仕方について解説しました。
まずは睡眠の習慣が整うと、日中の活動すべてが整いやすくなります。今回はさらに、人間本来の生体リズムから考えた健康的な生活リズム、すなわち基本的生活習慣を朝から順番に解説していきます。
朝:起床
自律起床が定着していないうちは、親が子どもより30分~1時間早く起きてカーテンを開けておきます。急に目を覚まさせないように、起床の30分くらい前に窓を開けて換気をします。この換気が自律神経に良い刺激を与えます。
子どもの眼球が動かないうちは、深いノンレム睡眠状態のためまだ起こしません。目は閉じているのに、目の玉が動くようになったり、そろそろ目覚めそうに体を動かしたりする様子がみられたら、優しく笑顔で「おはよう!」と挨拶をし子どもの名前を呼びながら起こします。
この時に叱って起こしてしまうと目覚めを悪くし、脳の働きを低下させてしまいます。0歳期には、水で濡らした柔らかいタオルで顔や手足を拭いてやり、授乳します。もしこの後また眠るようならば眠らせて構いません。
朝:着替え
眠りの中で皮膚から出した排出物がパジャマに付着しているので、裸になって清潔な衣類にすべて着替えます。素肌に朝の空気を触れさせることで、皮膚に拡がっている自律神経に適度な刺激を与えます。自律神経への良い刺激は気分を爽快にさせます。自律神経中枢と情緒を司る脳は視床下部などの非常に近い場所にあり、連携深く働いているのです。大人よりも一枚薄着にすることで、皮膚の代謝作用を高め体温の調節力を育てます。
着替えでは手足や体の筋肉をバランス良く動かすため血行が良くなり、大脳の活動を促し次の行動が気分よくスムーズにおこなえるようになります。
そして足の裏には感覚神経や自律神経が非常に多く拡がっているので、靴下ははかずに素足で過ごすと適度な刺激を直接受けることができます。
足は「体温計」の役割も持っていますが、靴下で包んでしまうと正確にはたらくことができません。また、素足で動くと足や指の周辺筋肉が強く育ち、歩く・走る・跳ぶなどの運動機能も向上します。
朝:トイレ
おねしょはバソプレッシンの分泌不足が最大要因のため、叱っても仕方がありません。夜間のおむつを早く取るためには、このバソプレッシンの分泌を活発化させる必要があります。そのためには、「昼間によく笑う」「夕食を高カロリー・塩分過多にしない」「眠る前はしつこく注意することは避ける」「夜更かしはしない」「夜中におしっこに起こさない」などが効果的と考えられています。
朝:皮膚刺激
皮膚刺激で自律神経を育てます。着替え時に裸になる、冷水で洗顔する、うがいをする、夏は足に水をかけるのも良いでしょう。
適度な日光浴も必要です。紫外線は本来、ある程度は人体の健康維持に必要なものです。過剰な紫外線対策をしてしまうと、子どものビタミンD不足をまねいたり、免疫力を低下させたりすることも少なくありません。毎日10分ほどは子どもの全身を太陽の光に当ててあげたいものです。
柔らかい布での軽い乾布摩擦や濡らした布での湿布摩擦、赤ちゃん体操・ベビー(キッズ)マッサージも大変効果的と考えられます。
朝:早朝散歩(朝食前に30分ほど)
朝の空気の中を散歩すると自律神経が快適に刺激され、はたらきが強まります。全身の筋肉や関節が適度に使われることで足腰が丈夫になるだけでなく、網様体が刺激されるので大脳の働きも良くなり、脚の骨格筋への刺激で心臓も丈夫になります。さらに、血のめぐりもよくなり、しもやけなど末端のトラブルを起こしにくくなります。
腹筋が丈夫になるので結腸反射を起こしやすくなり、腸が適度に刺激されるので便秘を防ぎ、また眠っている間の余分なエネルギーを使うことで太りにくくなります。気持ちよく歩くとドーパミンが分泌され、幸福感を作るとともに精神力も高まります。
朝昼夜:食事
朝食7時、昼食12時、夕食18時~19時ごろで、間食(ただし、よく活動した場合のみ)を15時ごろに1回とります。できる限り家族で一緒に食事をすることを心がけます。
「ご飯(つまりでんぷん)」をしっかりとる事が重要です。乳幼児のおかずは少量にし、糖・油脂が少ないものならば食べたいだけ与えて構いません。
子どものお腹は自分の食べるべき「適量」を知っています。「ひらがな食」を心がけ、「カタカナ食」や「精製食品」は極力避けます。コンビニ食品やレトルト食品はリン酸塩が多く使われており、これがミネラルを吸着して体外に排泄してしまいます。
人間の脳はエネルギーとしてブドウ糖以外を使用することはできないため、朝食から摂るでんぷんが大変重要となります。甘い菓子・ジュース・牛乳は「食後のデザート」として少量のみ与えます。3食きちんと食べる習慣づくりをし、時間を毎日一定にすることで体内時計の調節にも効果があります。
朝:大便の習慣
毎朝食後に大便をする習慣を身につけることが重要と考えます。適切な睡眠をおこなうと腸の蠕動が促され、腸内の排泄物はS字結腸に溜まります。その間に寝具をかたづけたり散歩したりして体を動かすと、腸が結腸反射という刺激を受け大便は直腸へと移動します。
朝は空腹状態のため、朝食をきちんと食べることで、胃・結腸反射が起こり、スムーズに気持ち良く排便できます。また、排便すると体が軽くなり一日中気持ちよく動けます。逆に便秘が続くと自律神経のはたらきが弱まり、情緒の働きが乱れることがあります。
午前:知能や手指を高める遊び
朝のうちに集中力を必要とする課題や知育遊びに取り組むととても効果的です。午前9時ごろからが一日のうちでからだ全体の活性度が最も高い時間帯です。脳の興奮をあらわすフリッカー値という数値が高く、頭が冴えます。フリッカー値が低いと疲労を強く感じると考えられています。お昼寝は、午前中に1時間ほどおこなうと質のよい睡眠がとれます。
午後:外遊び、体を使う遊び
午後は広い場所で思い切り体を動かして遊びます。フリッカー値は少し下がりますが体温は高まるため、戸外での遊びに適しています。
午前・午後:お手伝い遊び、しつけ
できるだけ多くの「お手伝い」をさせてあげます。子どもは大人への憧れを抱いています。ですから「自分も大人の仲間に入りたい」「一緒にやりたい」という強い思いがあります。お手伝いとは「依頼して」「大人の仕事を援助させながら」「共同の行為をすること」です。決して「押しつけ」や「指示・命令」にならぬよう注意する必要があります。
お手伝いはあくまで「基本的生活習慣の修行」なので、子どもが日常的にできることを中心におこないます。よく手伝ってくれる子どもの場合も、お手伝いに苦痛を感じさせるとせっかくの芽を潰してしまいます。お手伝いが終わったら心からのねぎらいやお礼を伝えます。
夕食後:ハイハイ遊び
しっかり歩いたり走ったりするようになってからも、夕食後、両親や兄弟と一緒にハイハイ遊びをおこないます。乳児期のハイハイの発達にも「順序」と「法則」があります。
全身の関節や骨格筋をよく使うため血行をよくし、成長を促すのにとても効果的です。
さらに、全身の骨格筋を使うと脳幹部の網様体を刺激するため、大脳のはたらきを強めます。両腕・両手首・両手の平にしっかり力を入れて上体を支えるので、手指の動きが力強くなめらかになります。手先が器用になり描画やおり紙、粘土細工が上達します。両手を突っ張って胸を張るので、胸の骨格筋が大きく強く育ち、呼吸力を強めるとともに呼吸調節がうまくなると声も出しやすくなります。
また、注視力や平衡機能が育つので、姿勢反射(立ち直り反射)も高まり、情緒や感情を司る脳の発達への効果も研究されています。
夜:入浴
就寝の少し前に入浴をします。入浴は寝付きをよくする作用があるため、入浴後は体温が元の体温に戻る前の20分以内に寝付くようにします。人間の体は体温が高まると眠くなります。一定の体温内で熱が下がる時が、最も心地よく健康的に眠れます。
就寝前:リラックスタイム
就寝前に20分ほど穏やかな時間を持ちます。入浴のほてりが静まったら、睡眠中の代謝に必要な水を少しだけ飲み、すみやかに就寝します。この時間、お子さまへしつこく注意をするようなことは慎み、文化的交流をして過ごします。
テレビや器機による視聴覚への刺激は避けます。寝転がってではなく、なるべくきちんと座って絵本の読み聞かせをしたり、静かな童謡を歌ったりします。ご両親の膝に座らせてあげてもよいでしょう。子どもが眠そうになってきたら、絵本も歌もやめて寝かせます。きちんと「おやすみなさい」と挨拶をして消灯します。
まとめ:子どもの生活習慣は焦らず、確実に身につけさせていく
いかがでしたでしょうか?
一つ一つの習慣は特に難しいものではないと感じていただけたと思います。子どもの生活習慣を正しく導いてあげることは、その後の健やかな発達のためにもとても大切なことです。
ただし、だからといって決して焦ったり急いだりせず、お子さまが小学生になるころまでに習慣付けができるよう、できることから一歩一歩確実に身につけていくことがポイントです。お母さん自身の生活習慣も整えながら、少しずつ確実に前進していただければと思います。
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