幼児期から読書に親しむ事のメリットとは?
「読書」の習慣というと、幼児期よりもっと成長した小学生以降の時期をイメージする方も多いかと思います。しかし、読書の習慣は成長していから意識的に訓練するものではなく、幼少期から自然となじんでおくとあとが非常に楽です。
人間ならではの能力を育むには「ことば」を育てることが一番です。心を育てるにも、知性を育てるにも、豊かな情緒や感性を育てるのにも、「ことば」の成長が必要なのです。
そして、ことばを育てる最も効果的なツールとは、間違いなく「本」だと思います。
まずは、幼児期から読み聞かせや読書をすることでどのような具体的な効果があるのか見ていきましょう。ここではおもに4つのメリットをご紹介いたします。
1.想像力が豊かになる
読書や読み聞かせをすることで、子どもの想像力が豊かになるといわれています。物語を通して主人公になりきってさまざまな体験をすることで、未知の世界や他人の気持ちを想像するのが上手になります。
アニメなどと比べて本を読むときには、より読者の想像力が必要になります。たとえ絵本であっても、飛行機の絵からそれが飛んでいる場面を想像することや、登場人物の絵から声やしゃべり方を思い描くことが求められます。
受け身ではなく想像をかきたてることに慣れることで、ものごとを発想する豊かな力が広がります。また下述するように他人の気持ちを想像することも上手になることで、コミュニケーション力にもプラスにはたらきます。
2.コミュニケーションスキルが高くなる
コミュニケーションスキルとは、相手の気持ちを考えてことばを選んだり、場の雰囲気にあわせて行動したりできる能力のことです。
本を多く読む子どもは、想像力をはたらかせてコミュニケーションをとったり、行動したりできるようになるので、相手のうれしいことや悲しいことをよく理解した対応が自然とできるようになります。
お母さんの読み聞かせの際に、おはなしの感想や楽しかった部分など話しあうのも、親子の会話が増えてコミュニケーション力のプラスになります。
3.自己肯定感を高める
幼児期の読書や読み聞かせによって、自己肯定感も高まるといわれています。
自己肯定感とは、自分を肯定して認める感覚で、能力や条件に関係なく短所を含めたありのままの自分を受け入れて認められる感情をさします。自己肯定感の高い人は、自分に自信を持っている場合が多く、自分は必要とされている存在であると感じたり、自分を好きだと思えたりする人が多い傾向です。
自己肯定感を高く持てると、自分の今後の人生における可能性を信じ、さまざまな物事に対して積極的に取り組める原動力が得られます。また人間関係を築くうえでもプラスに働く場合が多いため、生きていくうえでより幸福感を感じやすいでしょう。
一般的に自己肯定感の高さは幼児期の両親の言動による影響が大きいといわれていますが、本や物語に親しむことでものごとの捉え方が柔軟になったり、本を通じて主人公の成功の追体験をすることで、より自分の存在価値を感じやすくなります。
4.読解力や語彙力が伸びる
当然ながら本を読むことで読解力や語彙力が高まります。
読書をしたり読み聞かせをしていると、初めて使うことばに出会うことがよくあります。そんな時新しく知ったことばの意味を教えてもらったり、自ら調べることで、おのずと語彙力が鍛えられていきます。
また、本を読めば読むほど文章に慣れ、話の展開を理解しやすくなります。文章を読む機会は大人になっても多いため、子どものうちから鍛えておくと役立ちます。読解力は、国語にかぎらず他の教科や、勉強以外もふくめた人生の中でも非常に重要な能力です。
子どもが読書を大好きになるポイント
ここまで説明してきたように、読書は子どもにとって大きな効果をもたらします。
当然、ママ・パパとしては子どもに読書好きになってほしいと思うものです。しかし、なかなか思ったように本を読むようになってくれない、といった話をよく聞きます。
ここからは、子どもが無理なく楽しく本に親しむようにするための方法について説明いたします。先述したように、幼児期に読書週間を身につけておくと後が非常に楽になります。ぜひ、今のうちから実践してみてくださいね。
本が「空気や水のように」当たり前のものにする
まず絶対してはいけないことは「本」を「勉強」にすることです。強制したりノルマにしたりすることは、反発心を招くだけです。本を好きにさせるというよりも、「本が空気や水のようなもの」であるようにすることが大切だと考えます。
本を読むことは、たとえるなら私たちが呼吸や食事をするようなもので、ごく自然で当たり前のことなのです。ですから生活空間に、空気のように自然にたくさんの本が存在している事が重要です。
絵本の冊数はご家庭によって調整いただいてかまわないですが、0歳から3歳までの時期はできれば最低100冊ほどは欲しいというのを一つの目安としてください。
家庭に常に本があることで、子どもにとっては貴重なオモチャとなります。幼少期のお母さんの語り聞かせから育んでいくと、百科辞典や国語辞書で遊ぶようにもなったりします。
小学高学年くらいになると児童書から大人向けの書籍を読むようにもなり、このような経験をすることで、自然と「ことば」が育ち、学習塾など通わなくても国語が得意になります。
なかには、中学1年生の時に遊び半分で現在の大学入学共通テストにあたるセンター試験を解いたら結果が満点。さらに、高校3年までの6年間ずっと国語のテストで満点を取る子どももいるほどです。
だから「本さえ大好きなら、国語力は簡単に身に付く」と断言できるのです。
絵本の読み聞かせのポイント
絵本を読む時は、かならずお母さんの気分が良い時にしましょう。
もっとも重要なポイントは、「お母さんが笑顔で優しく読み聞かせてくれた楽しい時間と思い出の共有」こそが、子どもに「私は本が大好き!」という認識を強く刷りこむことになるという点です。
子どもが小さいうちの絵本の読み方は大きくわけて3通りあります。
1.普通にお芝居程度のスピードで情感をこめて読む。
2.早口気味に2倍速スピードで朗読している感覚で読む。
3.そのページの要点だけを簡略に読んで1ページ1~2秒ペースで読む。
1は、登場人物にあわせて声色を変えたりして一人芝居すればよいだけです。
2と3は、高這いや一人歩き、また走ることなどが上手になってきた時期におすすめです。動き回りたくてしかたない子どもを、むりに座らせて絵を見せる必要はありません。子どもが動き回っている部屋で、お母さんが絵本を開きながら情感込めて朗読してあげましょう。
また、子どもが途中で絵の中のモノを指さすようであれば、ページをめくらずに好きなだけ指さしさせてそのモノの名前を答えてあげてください。
子どもの様子を見ながら、この3パターンの読み方を織り交ぜていきましょう。
何度も同じ絵本をせがむ場合もこのパターン順に読む事ができます。
毎日継続できる本の読み方
お母さんも「子どもに毎日本を読んであげよう」という気持ちを持っていると思いますが、それが苦痛になってしまうと、せっかくの読み聞かせの時間が台無しになってしまいます。
短い本ならば4冊程度。ストーリー性の高い長めの絵本なら1~2冊。2歳で理解力が十分備わっていれば、「エルマーのぼうけん」などを一日1~2章読んであげるのも良いでしょう。
さらに、両親が本を読んでいる姿を毎日子どもに見せましょう。そうすることで子どもも読みたい!と思うものです。読む本は「将来、子どもに読ませたい本」を選んでください。
また、「児童文学」も非常におすすめです。大人になってから読むと、非常に楽にスラスラ読めますので子どもの頃に読んでいない作品も気軽に読破できます。
両親が読んだ本を、子どもが読める時期までとっておく楽しみが増えますね。
まとめ:ベビーパーク流・本の三原則
1:子どもにとって本を決して「勉強にしないこと」
2:お母さんにとって読み聞かせを「ノルマにしないこと」
3:親子にとって本は常に楽しい娯楽であること
この3原則からはずれると、途端に本は子どもにとって「つまらないもの」になってしまいます。3歳までに本好きにならなくてもいいのです。
本好きの10歳に育てるために、今できる小さなことを毎日楽しく継続していくことが大切です。常に数年後の子どもの成長を想定して楽しく取り組みましょう。
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