脳育とは
脳育とは、幼い頃から発達段階に合わせたさまざまな刺激を脳に与えることで脳の働きを活発にし、心や体の発達を促すことを目的とした育児方法のことです。
シナプスがキーワード
平成21年に文部科学省幼児教育課が「幼児教育の無償化の論点」という論文を発表し、【人間の脳は3歳までに80%、6歳までに90%完成する】ということがわかってきました。また、【2001世界子供白書】によれば、「子どもが3歳になるまでに脳の発達がほぼ完了する。新生児の脳の細胞は多くの成人が『何が起こっているか』を知るずっと前に増殖し、シナプスによる接合が急速に拡大して、終生のパターンが作られる。」と言及されていました。
脳の機能は電気信号を発することで情報をやりとりする、神経細胞のネットワークによって成り立っています。シナプスとは、そのネットワークをつくる神経細胞と神経細胞の接続部のことです。シナプスは使われなくなるとなくなってしまいますが、くり返し電気信号が発せられることで増やすことができ、学習や記憶が蓄積されていきます。
つまり、6歳までの脳に発達段階に合わせた刺激を与えることで、脳内のシナプスをどんどん増やし脳内細胞の結合を促進することができるのです。
脳育にはお絵描きがおすすめ
ここまで幼少期の子ども脳に適度な刺激を与えることがその後の子どもの知能の発達の決めてになるお話をしてきましたが、お絵描きすることは「脳育」に非常におすすめです。
年齢別:子どもの絵の特徴
子どもの絵も発達段階によって特徴があります。年齢別に見てみましょう。
◆1~2歳
1~2歳はなぐり描きの時期です。点々からはじまって、横線を重ねるぐちゃぐちゃを経て、手の動きがコントロールできるようになるとグルグルと円を描けるようになります。力のかけ方も習得し、細くて薄い線から濃くて力強い線になっていきます。
◆3~4歳
3~4歳になると、始点と終点を同じ場所にして丸を描けるようになります。丸の中に点々を描いて「顔」のようなものを描いたり、顔から腕をはやして「人」を描くこともあります。同じような絵でも、子どもに聞くと「お母さん」だったり「くま」だったりします。丸だけではなく、三角や四角などの図形も描けるようになります。
◆5~6歳
5歳を過ぎた頃には、果物やお花など自分の知っているものも描けるようになったり、胴体のある人や動物を描けるようになります。髪を描いたり、歯を描いたりするのもこの頃です。
6歳になると物や人を観察して描くこともできるようになります。また、紙の上を空、下を地面と認識して空に太陽、地面にお花、といった絵も描けるようになります。
お絵描きがおすすめな3つの理由
なぜ、お絵描きが「脳育」におすすめなのか? それには主に3つの理由があります。
◆1.手指を使う
絵を描く時、クレヨンや鉛筆を握ります。そして、それを巧みに動かすことで形を描いていきます。この巧みに動かす手の動きが、脳に刺激を与えます。2歳くらいまでのなぐり描きの時期も点々を描いたり、ジグザグな線を描いたり、グルグルと線を描いたりすることで脳に刺激を与えているのです。
◆2.観察する
お絵描きは視覚的な認知力を向上させます。5~6歳くらいになると、物や人を観察して描けるようになりますね。色や形を観察し、いろんな角度からの見え方を考えたり、細かいところがどうなっているかを観察したり、遠近を考えたりします。そしてその中でさまざまな発見をします。これらの情報が脳に伝わり刺激を与えるのです。
◆3.想像する
幼稚園などで「さつまいもほり」とか「運動会」をテーマに絵を描くことがあると思います。子どもたちは、実にさまざまな絵を描きます。自分が目で見たものだけではなく、「さつまいもほり」なら芋が土の中につながって埋まっている様子を描く子もいます。このように見えないものを想像して描くこと、想像力を使うことが脳に刺激を与えます。
このように、絵を描くことは子どもの持つ感覚や運動機能を活用して脳全体を刺激するため、脳育にいいといわれるのです。
脳育だけじゃないお絵描きのメリット
もちろん絵を描くメリットは「脳育」だけではありません。
ストレスの発散
絵を描くことは、リラクゼーションやストレスの軽減に役立ちます。アメリカの大学での研究でも、絵を描くことでストレスホルモンの減少が確認されたそうです。絵を描くことに集中することも心身のリラックスを促進し、日常のストレスから解放される手助けとなります。
大人の場合、写仏をすることでストレス発散をする人もいますから、絵をなぞるだけでも効果があるようです。
創造力を鍛える
絵を描く時には、その構図や色などさまざまなことを考えながら作業しますね。絵を描くことは自分のアイディアや感情を表現する手段です。これにより、新しいアイディアや作品を生み出すことができます。
集中力と忍耐力の向上
絵の細かいところまで描いたり、作品が出来上がるまで描き続けることで集中力と忍耐力を養うことができます。テレビ番組でも絵の得意な芸能人が作品を描いていますが、何時間もかけて仕上げています。とてつもない集中力ですね。
自己表現
絵を描くことは自己表現の手段として使われ、感情や思考を他人と共有する方法となります。お母さんに怒られた後で、鬼の角が生えたお母さんの顔を描く、というのも、言葉には表せない感情を表に出す方法ですね。このように感情を表に出すことでストレスを発散することもできます。
また、絵には無意識の心理状態が表れるとも言われています。色やモチーフによって子どもの心理状態をみることもできるようです。
空間認識力を高める
何かを見ながらデッサンする時は空間認識力が鍛えられます。空間認識力が高いことは身体能力の高さにもつながるといわれています。例えば、物との位置関係や距離感を把握できるため、道でつまづいたり、物や人にぶつかったりということが避けられます。
ボールを上手にキャッチできるのも空間認識力のお陰です。また、距離感を把握できることは道具を使うことにも役立ちます。金づちで釘を打ったり、お箸を口に運ぶのもそうです。
お絵描きを楽しませるために親ができること
では、子どもにお絵描きをたくさん楽しんでもらうために、親ができることは何でしょうか?
色をたくさん与える
クレヨンや色鉛筆でお絵描きをする場合には、できるだけたくさんの色を与えてあげましょう。使ううちに自然と色の名前を覚えたり、色の違いを使い分けることができるようになります。
よい部分を褒める
子どもの絵を褒める時は、上手い・下手ではなく「この色がとても素敵だね」「とてもよく観察できたね」「とっても楽しそうな絵だね」など良い部分を具体的に褒めてあげましょう。どの絵もその子が一生懸命描いた作品です。上手く描けることよりも、楽しく描けることを重視しましょう。
他の子と比べない
「あの子は上手に描けてるね」などと声をかけられると、自分の物はそれより劣っていると感じさせてしまうこともあります。何かにつけて、大人は比べたがるものですが、表現は人それぞれですから人とは比べずに、我が子の作品を褒めてあげましょう。
まとめ:大人も一緒にお絵描きしましょう
いかがでしたか?子どもは絵を描くことが大好きですから、どんどん描かせてあげましょう。なかなか描きはじめられないという子は、どうやって描いたらいいか迷っているのかもしれません。そんな時は、大人が描きはじめ、そこに付け加えて描いていってもらってもいいでしょう。絵を描くメリットは大人にも当てはまりますから、お子さまと一緒にたくさんお絵描きを楽しんでくださいね。
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